NO.373 6月4日【木】=フレンチパラドックス=

おはようございます。

ワインをたしなむ人であれば一度は聞いたことがある言葉であると思います。フレンチパラドックスとは、フランス人が脂肪分の多い食事をしているにもかかわらず、心臓病の発症率が比較的低いという現象を指します。この現象が注目されたのは1992年フランス・ボルドー大学のルノー教授らの研究が、医学誌ランセットに発表されたことがきっかけでした。

脂肪消費量と心臓病死亡率の関係を調査した国別比較データによって、フランス人の心臓病による死亡率が、ヨーロッパ諸国の中でも特に低いということが示されたのです。実際フランス人の心臓病死亡率は、脂肪消費量が同程度のイギリスの3分の1、ドイツの約半分、さらに脂肪消費量がフランスの約3分の1程度にとどまるポルトガルやスペインとほぼ同程度であったという衝撃的な結果が公表されました。これがフレンチパラドックスとして注目され、多くの研究者がその謎の解明に取り組むことになります。

謎を解くカギとして着目したのはワインの消費量でした。フランスは世界でもトップクラスのワイン消費国です。2023年におけるフランスの年間ワイン消費量は約24億リットルといわれ、1人あたりに換算すると年間約50リットルにもなります。これはドイツ人の2.5倍、イギリス人の6.5倍、日本人の70倍にもなるそうです。フランス人が脂肪を多く消費しているにもかかわらず、心臓病による死亡率が低いのは、ワインをたくさん飲んでいることが一因であると考えられたのです。

確かに赤ワインには多量のポリフェノールが含まれ、その多様な健康効果が数多くの論文によって示されています。その効果は心臓病など循環器系疾病の改善にとどまらず、認知症やアルツハイマーなどの脳疾患への作用、抗ガン効果、さらには寿命の延長など、多岐にわたっています。しかし、赤ワインを飲むだけで健康になれるというのは、かなり強引な話で、フレンチパラドックスの背景には、ワイン以外の要因も関係している可能性が指摘されています。例えば、フランス人は食事の際に時間をかけてゆっくり食べる習慣があり、食事全体のバランスも健康に影響を与えているかも知れません。また、フランス料理ではオリーブオイルや新鮮な野菜、魚などが多く使われており、こうした食材の影響も無視できません。

近年の研究では、少量のアルコール摂取であっても健康リスクがあることを示す報告もされています。健康のために赤ワインを飲もうというメッセージは、必ずしも適切ではなかったのです。日本にも酒は百薬の長ということわざがありますが、適量のお酒をのむことでストレスが和らぎ、アルコールが食欲を増進することも事実で、今なお多くの人がこのことわざを信じています。もっとも、実際には信じていないものの、お酒を飲むための言い訳として使っている可能性はあるかもしれません。フレンチパラドックスも、おそらくワイン好きの人々の言い訳になりつつあるのかも知れません。

飲みすぎが良くないことは明らかですが、ではワインやお酒が少なくとも健康を害することなく、楽しく摂取できる量とはどのくらいなのでしょうか。厚労省によれば、純アルコールとして1日20グラムが適量であると定められているそうですが、赤ワインや日本酒なら180ml(1合)ということになります。しかし、少量であってもがんのリスクを上昇させるという報告もあり、意見はさまざまです。むしろ、量や数字にこだわるより、フランス人のように美味しい食事を楽しみながら、適度にお酒をたしなむ、そんなライフスタイル、心のゆとりが大切なのかもしれません。

今日も一日サステナのんで頑張りましょう。

よろしくお願いします。

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