NO.374 6月5日【金】=牛乳にも旬がある?②=

おはようございます。

先週5月29日【金】のお話、牛乳にも旬がある?の続きです。私たちの毎日の食卓に欠かせない牛乳、そしてサステナの原料でもある牛乳は酪農製品、つまり農産物であるので野菜や果物と同じように旬があって地域ごとに個性があってもおかしくないというお話でした。牛乳や乳製品に旬があり地域性があることは、ヨーロッパなど酪農の歴史が古い国では当たり前のこととして受け止められているといいます。しかし、日本ではスーパーに並ぶ牛乳にそれを感じることは難しいというのが現実です。なぜ日本の乳製品には旬が感じられないんでしょうか。その事情について、北海道大学准教授の三谷先生はこう説明されています。

まずは日本の消費者がいつでもどこでも同じものを、しかも安く、手に入れたいと求めてきたことに原因があると先生は分析しています。これは牛乳だけでなく、どのような製品についても、品質管理という観点から考えれば、至極まっとうな考え方でもあります。大手の食品メーカーでは、基本的に大量に早く処理し、生産することが条件になってきます。大量生産による経済性を追求した結果とも言えます。メーカーとしては工場近くの多くの酪農家から集めてきた生乳を混合することで品質を均一化し、一気に製造します。酪農家もあまり成分を変動させたくないので、1年中同じようなも牛の飼育をしています。結果として旬や地域性が薄れてしまうというわけです。これが日本人の牛乳や乳製品に対する嗜好性にも影響しているといいます。

しかし、細かく分析すると、個々の酪農家が生産している牛乳になる前の生乳(殺菌する前の乳)には間違いなく旬(季節性)や地域性はあるということです。三谷先生の調査によれば、北海道というひとつの島であっても、地域ごとにかなり酪農の方法に個性があり、品質にも違いがあったといいます。特に地域で気候条件の差があり、その影響で北海道の酪農は地域ごとに3つのタイプに分類されています。

【1】草地型酪農タイプ:釧路や根室周辺、旭川以北の地域では、気候条件がやや厳しく、畑作物の生育には不適な地域ですが、牧草は育つので餌は牧草が中心です。広い土地を確保しやすいので夏場は放牧が効率的になります。

【2】畑作型酪農タイプ:十勝や斜里町、網走などが中心で、畑作物の大産地のため飼料用の穀類も生産しています。餌にトウモロコシのサイレージ(発酵飼料)が多く使われています。私たちが以前見学した足寄もこの地域ですが、足寄町はあえて牧草による放牧酪農を選択している【1】のタイプに分類できます。

【3】都市近郊型酪農タイプ:札幌市周辺など、都市近郊が中心です。どんな作物も生産可能ですが、土地価格が高く、飼料用地の面積確保がやや難しいため、購入飼料の割合が多く、飲用乳の主な供給地域になっています。

こうした地域性の違いが乳成分にどのくらい影響しうるのか気になるところですが、牛乳パックの裏面表示にあるような一般的な乳成分(脂肪、タンパク質、乳糖)には、残念ながら大きな差はありません。しかし、もう少し細かく調べると、脂肪酸の組成、ビタミンやカロテンまで比較してみると実は大きな違いが見えてきます。例えば、脂肪酸の組成では、【2】畑作型や、【3】都市近郊型では比較的脂肪の融点が低く、くちどけが柔らかい印象の味になります。【1】草地型では、夏は同じく融点が低い、くちどけが柔らかい印象ですが、冬になると融点が高く変化し、しっかりした硬い印象に変わります。またカロテン含量を見ると、【1】草地型の冬が最も高くなり、色味が黄色っぽく見えるため、バターやクリームなどに加工すると際立って濃い印象になります。そのほかにもオメガ3系のアルファリノレン酸、ベータカロテン、ビタミンEなどが、【1】草地型にはかなり多く含まれていることがわかっており、やはり牧草による放牧酪農の乳製品の特徴となっています。

北海道の3つのタイプの酪農で、その差を見てきましたが、では北海道以外の日本全国ではどうでしょうか。もっとさまざまな地域性による違いがありそうですが、実は微妙です。北海道内における季節や地域間の違いは、牛の飼い方、特に飼料に由来する差が大きいと考えられます。その観点から日本全国の酪農を比較すると、北海道以外の地域では全農などの組合組織が主導する形で、もっぱら海外からの輸入飼料に依存する方向で発展してきた経緯があります。結果として地域ごとの飼い方に大きな違いがなくなってしまっており、そこから製造される乳製品も地域色や個性があまり感じられない製品になっていると言えます。

私たちのサステナも間違いなく乳製品です。現在はニュージーランドの酪農家に完全放牧という飼育法で生産して頂いていますが、いずれ国産化を目指せば、やはり地域性や季節性がある自然に近い飼育スタイルがふさわしいと考えており、そのためにも旬があり、個性のある酪農を日本でまず実現させることが出発点であると思っています。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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