おはようございます。
放牧酪農=100%牧草飼育による酪農の魅力を、昨日は牛の視点からお話しました。放牧酪農の乳牛は、運動量が豊富で足腰が強く、その分体型は小ぶりですが、非常に筋肉質で健康な牛になります。また広い牧野で24時間過ごすので、ストレスもなくのびのびと飼育されています。牛にとってはとても快適でストレスなく健康に育つ環境が用意されています。その結果、放牧酪農の牛は、最後は食肉にされるとしても健康で長く生きることができると言えます。この差、特に牛の健康面は、そのミルクにしても肉にしても、最終的に私たちが食べものとして口にする以上、とても重要で大切なポイントであるはずです。特にサステナはそれを頂く目的が、私たちの健康維持と改善ですから、元となるミルク、それを生み出す乳牛の健康状態は絶対に譲れない、最も大切な要件です。いわゆる近代酪農が、効率を重視するあまり牛自身の健康を二の次と考えているとすれば、それは大変憂慮すべき問題であると思います。
そして放牧酪農は、牛の視点に加えてそれを営む酪農家の視点でも大きなメリットをもたらす酪農法であると言えます。牛舎と配合飼料に依存しないということが、酪農家にとってどれほどの負担軽減につながるか、私たちにはなかなか想像ができない部分ではありますが、酪農家の経営にとっても実は大変に大きな差があります。まず、放牧酪農ではもちろん牧草地という広い土地が必要になるという前提条件がありますが、その代わり牛舎もふん尿処理場も必要ありません。したがって建設コストや維持コストがかからないだけでなく、その作業のために必要な機器や装置も必要なくなります。さらに配合飼料などが必要無くなれば、当然その購入費用はもちろん、保管場所や給餌装置やそれに関わる労働も必要なくなります。近代酪農という名の下で、これらの作業は機械化され、省力化が進んでいるとはいえ、その分新たな設備投資はどんどん巨額になっており、これを回収するために、牛たちはますます効率を上げるべく、搾乳量を増やすためにさらに過酷な環境に晒されているというのが実状です。まさに牛にとっても酪農家にとっても、より厳しい方向に追い詰められている気がします。
ニュージーランドの酪農家は、夫婦や家族単位で牛たちの世話をしていますが、200頭クラスの牧場が多く、殆んどが非常に余裕のある暮らしを実現しています。一日の労働時間は、フレキシブルではあるものの、概ね8時間程度であり、交代で休みも取れます。年に一回、主に冬の時期になりますが、長い休暇もとれ海外旅行に出かける人もいます。日本などの酪農家とは全く労働の環境も質も違っています。放牧によって、日々の給餌作業、ふん尿処理清掃作業が無いということが最も大きいと考えます。さらに放牧は春から秋までの牧草が豊富な時期に集中して搾乳と出荷を行うため、冬はさらに仕事量が激減します。この時期に牛を休ませると同時に、酪農家たちも交代でバケーションを楽しむことができるのです。もちろんまずは収入が安定しないといけませんが、先に述べたように飼料コストも、特別な機械装置も、また建屋などの建設コストも、ほぼかからない上に、労働力も最小限で賄えるため、圧倒的に原価が安く済みます。その結果、酪農家にとっての収入である原乳の買い取り価格が日本や欧米に比べて安いにも関わらず、農家には十分な利益が確保できているのです。そこに放牧酪農の強みがあり、現在までニュージーランドの酪農業が世界のマーケットで最も競争力のある産業として生き残ってきた秘訣があったのです。
放牧酪農は、そこから生み出される乳製品の品質はもちろん、それをつくる乳牛の健康と環境、さらに酪農家の労働環境、そして経営と収益にも、すべてにおいて大きなメリットがある酪農手法です。唯一の課題は、やはり十分な牧草を供給できる広い土地が必要になるということだけかも知れません。しかし、平地、平原でなくても牛たちは勾配のある斜面も苦にすることなく移動します。日本は国土面積が限られている分、候補地を見つけることはなかなか困難はありますが、まだまだ利用されていない山地や丘陵地帯に土地は残っていると考えています。設備投資がほぼかからない放牧酪農は、まだまだ日本でも大きな可能性を秘めた酪農手法であると同時に、近代酪農で疲弊している多くの日本の酪農家にとっては、起死回生の道を拓く新しいチャレンジの価値があると考えています。日本でも放牧酪農がもっと広がることを期待したいですね。
今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。
よろしくお願いします。

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