NO.414 9月2日【水】=核融合ってなに?=

おはようございます。
TBS の日曜劇場「VIVANT」は、2シーズン目に入ってもその人気は衰えることなく、毎回15%を超える高視聴率を続けています。VIVANT=別班は、いまや日本版ミッションインポッシブルといったスパイドラマの展開になっており、世界を股に掛けた諜報活動がメインテーマになっています。そしてその諜報活動の最大のターゲットが、核融合技術の奪い合いというストーリーです。

そこで本題ですが、核融合とはどのような技術なのでしょうか。まさに現実世界で開発がすすんでいる革新的エネルギー技術で、世界中がその実用化に向けてしのぎを削っている分野です。核融合発電は、かつては遠い未来の夢物語として語られてきましたが、2022年に米国ローレンス・リバモア国立研究所(NIF)が科学的に核融合でエネルギーを取り出せることを実験で初めて証明しました。これにより、核融合技術がそれまでの理学から、実際の工学へ移行したと言われています。

では、核融合発電は、現在の原子力発電と何が違うのでしょうか。原子力発電は核分裂によるエネルギーを利用しますが、核融合と核分裂、言葉は似ていますが全く違うものとされています。原子力発電や原子爆弾に利用される核分裂反応は、ウランやプルトニウムといった重い原子の核に中性子を衝突させ、原子核を割る(分裂)ことで大量のエネルギーを放出させるものですが、中性子が次々と原子核に衝突するため連鎖反応が起きます。この連鎖反応を原子力発電所では、制御棒や減速材を用いて制御することが安全上非常に大きな課題になっています。さらに原子核の分裂時にエネルギーとともに高レベルの放射性廃棄物が発生するため、その処理も大変に大きな問題で、未だに日本では最終処分場がない状態であることはご存じのとおりです。

こうした原子力のもつ危険性や廃棄物の問題を一気に解決できると期待されているのが核融合発電です。簡単に言うと水素などの軽い原子核同士が超高温・高圧下で融合し、ヘリウムなどのより重い原子核に変わる際に放出される莫大なエネルギーを利用する発電技術です。これは、太陽が輝きを続けている原理そのものを地上で再現する試みであることから、「地上の太陽」とも呼ばれています。

核分裂による原子力発電と核融合発電を比較すると、次のようになります。反応原理は、核分裂がウランなどの重い原子核を割るのに対して、核融合は水素などの軽い原子をくっつけることでエネルギーを取り出しています。安全性の面では、核分裂は連鎖反応による暴走リスクがありますが、核融合では燃料供給や電源を止めれば、即座に停止するため暴走リスクがありません。また廃棄物も数万年も残存するような高レベル放射性廃棄物は出ず、100年程度で無害化する低レベルのものしか出ないと言われています。そして原子力発電がウランなどの稀少元素を使用するのに比べ、核融合発電は、海水中の重水素・リチウムを利用するので、無尽蔵に供給が見込めると言います。

これだけではありません。核融合発電の実用化が急がれるのは、まさにいま世界が直面する最大の社会課題ともいえる脱炭素社会の実現への切り札とされている点です。核融合発電は、CO2を一切排出しません。太陽光や風力といった再生可能エネルギーだけでは、化石燃料に代替するには不十分です。安定供給可能な「ベースロード電源」として核融合発電は、火力発電を完全に代替可能といわれています。また核融合炉からの超高温を副次的に利用して、水を熱分解すれば水素を大量に製造できるため、水素社会に必要な「グリーン水素」の供給元としても期待が高まっています。

気候変動対策への切札、エネルギー革命の主役とも目される核融合技術ですが、果たしてデメリットや問題、課題はないのでしょうか。明日はそのあたりも検証してみたいと思います。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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