NO.412 8月28日【金】=世界の倍のスピードで上昇する日本の気温=

おはようございます。
酷暑という新しい気象用語が今年から正式に使用されるようになりましたが、そのとたんに日本中で40℃を超える酷暑日が連日のように報告されています。確かに世界の地域では、40℃どころか50℃に達する気温も存在しますが、それは内陸の砂漠地帯や赤道付近の熱帯地方といった限られた地域の話で、日本のような中緯度に位置し、海に囲まれることで気温の変化が比較的穏やかな温帯に属する地域で、このように40℃を超える気温が頻繁に観測されるというのは珍しく、日本でもこれまであまり記憶にないことが起こっています。

酷暑日という言葉自体は、今年気象庁が正式採用する以前から日本気象協会などで使われていたと言いますが、それでも2022年以降の事であり、それまではこんなにも頻繁に40℃を超えることはありませんでした。明らかにこの数年で気温が急激に上昇しており、その背景には地球の温暖化、気候変動が関与していることは間違いありません。世界はCO2に代表される温室効果ガスの排出を抑制するために、国連を中心に国際的な枠組みの中で気候変動対策(COP)を進めています。具体的には、2015年のパリ協定によって、産業革命以前つまり18世紀の平均気温からの上昇幅を1.5度以内にしようという目標が立てられました。ところが日本では、気象庁の記録によれば明治以降の100年だけで、実は1.4度も平均気温が上昇しています。この間の世界の気温変化は平均0.77度といいますから、まさに2倍のスピードで日本は温暖化が進んでいると言えます。

なぜ、日本はこれほどまでに気温の上昇が激しいのか。実は日本のみならず、わが国が位置する北半球の中緯度域は、地球温暖化による気温の上昇率が大きいことが知られています。その理由の1つが、陸と海が占める割合の違いです。北半球の中緯度域は陸域の占める割合が他の緯度帯よりも大きくなっています。というのも、大気中の温室効果ガスの増加によって地球表面に入ってくるエネルギーの量は増えますが、このエネルギーは気温や海水温の上昇だけでなく、水分の蒸発にも使われます。海に比べて陸域では水分の量が限られているため、蒸発に使われるエネルギーが小さく、その分、気温上昇に使われるエネルギーが相対的に多くなります。これが地球温暖化に伴う気温の上昇が海域よりも陸域で大きくなりやすい理由であると考えられています。したがって、陸地の面積が広い北半球中緯度域では、他の緯度帯に比べて速いスピードで気温が上昇しているのです。

そして、もう一つ日本の気温上昇を加速しているのが、日本を取り巻く太平洋高気圧です。高気圧には寒冷高気圧と温暖高気圧が存在しますが、太平洋高気圧は温暖高気圧です。温暖高気圧が形成される際には、大気の流れによって対流圏(地上〜高度10km)の中でも高い位置に強制的に空気が集められます。対流圏の上には成層圏(高度10〜50km)がありますが、空気はその境界を横切ることが難しいため、集まってきた空気は行き場を失い下降気流となります。空気が下降すると気圧が上昇するため、圧縮された空気の温度が上昇します。結果として、地上付近では暖かい高気圧が形成され、周囲に風が吹き出すことになります。この温暖高気圧の典型が太平洋高気圧で、日本に極端な猛暑をもたらす元凶の一つとなっています。

太平洋高気圧が覆う領域は非常に広く、その中心はハワイ諸島の北側あたりにあります。その中で、日本に近い小笠原諸島付近の一部分を指して、小笠原高気圧と呼ぶこともあります。日本に猛暑をもたらす太平洋高気圧は、梅雨の時期には日本の南東海上に位置し、北部に位置するオホーツク海高気圧との間に梅雨前線が横たわります。梅雨の時期には梅雨前線が北上と南下を繰り返しますが、これは太平洋高気圧とオホーツク海高気圧が押し相撲をしているようなイメージです。7月後半になって太平洋高気圧の勢力が増し、梅雨前線を北まで追いやると梅雨明けとなり、日本全体が太平洋高気圧で覆われる形になります。高気圧に覆われると、上空の気流は下降流になります。上空から下降してきた空気は、気圧の上昇とともに圧縮されて温度が上がります。さらに、高気圧が発達していると晴天になりますので、地表面に降り注ぐ日射も増え、高温がもたらされます。

日本の暑い夏は、太平洋高気圧の影響であることは理解頂けたと思いますが、この数年特に今年は何が例年と違ったのか、それはすべてが解明されているわけではありませんが、太平洋高気圧の西への張り出しが今年は特に強くなっており、日本列島をすっぽり覆う状態にまでなっていることが挙げられています。その結果気温が高く維持され、酷暑日が連続するような猛暑になっていると言います。さたに太平洋高気圧の西への張り出しによって、台風の進路も例年にはないコースで西に流され、台湾や大陸へ上陸するケースが増えています。なぜ、太平洋高気圧の張り出しが西に伸びたのか、そこには偏西風の蛇行が関連していると専門家は分析していますが、この偏西風の蛇行を起こしている原因のひとつが、温暖化とも言われており、地球で起こっているあらゆる現象は互いに連動し、巡り巡って繋がっているのだと言えます。そしてその連鎖するドミノ現象の最初のピースを押したのは、間違いなく私たち人間の浅はかな行動であったことを猛省しなければならないと思います。いまからでも間に合うのかどうかわかりませんが、少なくとも私たちの子や孫の世代に対して、より良い環境を残すべくできる努力を続ける責任があると考えます。健康も環境も、不断の努力でしか守れないのですから。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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