おはようございます。
京都大学医学部卒業後、人間ドックなどの機関で30万人近くの診察・診療にあたるなか、予防医学の大切さを痛感し、現在は産業医の傍ら、多くの著書を執筆したり、海外の文献や医学書の翻訳も手掛けるスーパードクター、奥田昌子医師の最新の著作「日本人の体質」(講談社)から、一部抜粋しながら、日本人の食生活の変化について考えたいと思います。
「最近太り気味だから、ご飯をお茶碗半分にしているのに痩せない」「血圧が高いから塩分を控えるように家族に言われた」・・・ こんな経験、おそらく多くの人々が経験していると思います。実はそれ、日本人に合っていない健康法かも知れないと、奥田先生は指摘します。同じ人間であっても、外見や言語が違うように、人種によって「体質」も異なります。そして体質が違えば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わることが分かっています。欧米人と同じ健康法を取り入れても意味がないどころか、逆効果と言ことさえあると先生は言います。
日本人は歴史的に、どんな原因で亡くなってきたのでしょうか。これは公的な文書で1899(明治32)年までさかのぼって調べることができます。かつて猛威をふるったのは、胃腸炎、結核、肺炎などの感染症でした。その後、衛生状態の改善と治療薬の開発を通じて、感染症による死亡率は1940年代後半にかけて低下していきました。続いて脳血管疾患や心疾患がおもな死因になりますが、ここで日本の特性があらわれます。脳血管疾患が世界的に見ても多かったのと対照的に、心疾患は明らかに少なかったのです。
1980年前後に、日本人の健康と病気に関する大きなできごとがありました。日本人がなりやすい病気が劇的に変わったことです。減った病気がある一方で、この時代を境に多くの病気が増えました。言い換えると日本人が、それまで少なかった病気を発症するようになったということです。そこに体質の変化があります。
体質は遺伝的素因と環境要因が相互作用して作られますが、日本人全体の遺伝的素因が100年程度で変わるようなことはないため、食生活を含む生活習慣の変化が大きいと考えられます。1960~1980年代に減少した病気の代表が脳出血です。脳出血は脳の血管が破れる病気で、1981年に悪性新生物に取って代わられるまで日本人の死因第1位でした。1965年には、脳血管疾患による死亡率が日本は世界で最も高かったという記録があり、その大半を脳出血が占めていました。
無数の人を苦しめた脳出血を減少させたのは、食生活の「改善」でした。とくに東北地方は塩分を多くとりがちで、動物性蛋白質の摂取が少なかったのですが、現地で食事指導をおこなうとともに、その後に広がった食の欧米化の影響もあり、脳出血は順調に減少しました。厚生労働省の2023年の統計によれば、とくに男性の脳出血による死亡率は1960年の9分の1程度になっています。
健康志向の高まり、調味料の多様化、冷蔵庫の普及も追い風になって日本人の塩分摂取量は減少し、2023年には成人の平均が1日あたり9.8gと、戦後で最も多かった1956年のほぼ半分になりました。ところがWHOは世界の人の減塩目標を1日5g未満とし、日本高血圧学会も『高血圧管理・治療ガイドライン2025』のなかで、1日6g未満とするようすすめています。現在の日本人の摂取量をさらに6割まで減らせというのですが、その一方で、減塩による降圧効果は下げ止まりが近づいているとの指摘もあります。
そもそも食塩で血圧が上がることは間違いないのでしょうか。明日もこのお話、続けます。日本人の体質と高血圧の関係を、さらに詳しく見ていきたいと思います。
今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。
よろしくお願いします。

コメント