NO.182 4月30日【水】=腸内フローラのおさらい②=

おはようございます。
先週からの続きです。私たちの腸内には1000種類以上の細菌が、合計で500兆個以上も棲息していると言われています。そしてその種類も数も個人個人によって、すべて違うことも分かっています。顕微鏡で腸の中を覗いてみれば、姿も形も違うまさに色とりどりに多彩な細菌たちが棲んでいる様子が、まるで植物が群生しているお花畑のようであることから、「腸内フローラ」と呼ばれています。正式には腸内細菌叢と言いますが、最近では腸内マイクロバイオータと言った、より遺伝子を意識した呼び方に代わってきていますが、ここでは一般的に慣れ親しんでいる腸内フローラと呼ぶことにします。

この腸内フローラは、500兆個以上という途方もない数の細菌たちの集合体ですが、私たち人間のカラダを構成している細胞数が約37兆個と言われていますから、まさに桁違いに大きな数字であり、それが私たち一人ひとりの腸内に棲息しているというのは、なかなか想像しにくい世界ではあります。より具体的にイメージすれば、500兆個の腸内細菌を1列に並べると地球を2周半できると言います。そして腸内細菌すべてを集めて重さを図ると1㎏~1.5㎏の重さになるそうです。さらにこれらの細菌が内包している遺伝子の数が2000万個もあると言いますから、日々私たちの腸内において、これらの細菌群が想像もつかないくらい、その遺伝子の指令に従って多種多様な活動を繰り広げていると考えられています。

その一つひとつの働きは、一義的にはその遺伝子をもつそれぞれの細菌が、私たちの腸内という環境にあって生存を続けてゆくために必要な活動を行っているのですが、それはてんでバラバラ、勝手気ままに活動しているように見えて、実は腸内という環境において一つの生態系を形成しながら、まるでハーモニーを奏でるように調和を作り出していると言えます。その調和は、棲息する細菌同士が相互に働き、同時に腸という場所を提供している家主である私たち人間のカラダの器官や細胞とも連携し、さらには私たちが飲食によって取り入れた、さまざまな栄養物質にも反応する形で、さまざまな活動を繰り広げながら、共生している状況をつくり上げているのです。

そして、その一つひとつの活動内容が、近年飛躍的に発達した遺伝子解析技術によって、日々明らかにされつつあると言えます。こうした遺伝情報を一括して網羅的に解析する手法をゲノム解析と呼んでいますが、この分析手法により、私たちの腸内フローラが、日々どのような働きをして、私たちの食生活や健康にどのような影響を与えているのかが、次第に解明されつつあります。そしてそれは、いわゆる善玉菌と言われる私たちに多くのメリットを提供してくれる腸内細菌たちの働きだけでなく、悪玉菌や日和見菌と呼ばれる、腸内では多数派の細菌たちの所業も、具体的に解明が進んできています。その結果としてさまざまな感染症のみならず、多くの生活習慣病や、がんといった難しい疾病の治療にもつながる糸口が見えてきているのです。

私たちのサステナには、26種類の悪玉菌に対する抗体が含まれていると言いますが、1000種類以上もいる腸内フローラのなかで見ればごく一部の細菌群に対応しているに過ぎません。しかしながら、オハイオサーベイをはじめ長年の調査研究では、さまざまな臨床結果が報告されており、有効性は多岐にわたって確認されています。その因果関係はさまざまな実験データによって証明されてきましたが、多くの場合において、そのメカニズムまでは十分解き明かされていないというのが現実です。その未知のブラックボックスに切り込むことが出来るのが、遺伝子レベルでのゲノム解析手法であり、この手法を用いた免疫ミルクのさらなる研究が進むことをぜひ期待したいと考えています。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

コメント

  1. 中川原雅夫 より:

    記事の中で、ポリファーマシーとは、「害のある多剤服用」を意味する言葉です…から始まる腸内フローラの劣化に警鐘を述べておられます。NHKスペシャル番組人体でも多剤服用で腎臓の悪化を指摘し一時的に服用を中止したら改善した報道でした。腎臓の悪化も腸内フローラの劣化が原因だと指摘で出来るのは悪玉菌の遺伝子が作るインドールでこれが肝臓にいきインドキシル硫酸となりこれが腎臓を叩く事が明らかにされました。リューマチ患者の多くはアルブミン低下が見受けられます。アルブミンは薬や栄養素を運ぶトラックですからトラックが少ないと薬は運べ無い事になりますと積め残した薬はフリーで血中に流れますから副作用が強く或いは多くでますので、多剤投与が始まりますとそれぞれの掛かりつけ病院から薬が処方されます。一つの事例でアルブミン値が凄く低い方に16種類の薬が処方されて居ました。あるドクターにこの患者さんは健康を取り戻す事は出来るでしょうか?と、尋ねましたら無言でした…。
    ポリファーマシーの言葉を記憶に留めましょう。