NO.364 5月15日【金】=ストレスとがん=

おはようございます。

現代人の健康を妨げる最大の要因はストレスであるといいます。ストレスは、英語の緊張や圧力という言葉がもとになっていますが、精神的・肉体的な負担となる刺激を意味する言葉として定着しています。野本亀久雄先生によれば、散発的な刺激は私たちの身体を元気で健康な状態に保つのに、大変有効であるといいます。運動選手があえて負荷をかけてトレーニングを行うのも、適度な刺激を与えることで、身体機能を向上させる効果があるからといえます。しかしながら、こうした刺激も、のべつ幕なしに継続してしまうと、これはストレスとなり、私たちの身体には精神的にも肉体的にも悪影響となり、生体防御力を大きく低下させてしまうと先生は述べておられます。結果として、継続的なストレスによってさまざまな病気が引き起こされることになると言います。

私たちの身体に日々降りかかるストレスには、痛みや発熱のように客観的に測れるものとは違い、非常に主観的で人によって感じ方が大きく違います。さらにその強さや持続時間の長さも変化し、生活習慣や社会的背景も深く絡み合っているため、一筋縄でいかず、注意深く検証する必要があります。それでもストレスによって、がんを含む多くの病気のリスクが高まるというメカニズムが少しずつ解明されつつあり、医学的なデータによってそれが裏付けられてきています。

1990年代から始まった国立がん研究センターによる多目的コホート研究において、心理的ストレスとがんリスクの関連が解析されました。参加者に日常生活でどの程度ストレスを感じているかを自己申告させ、その後のがん発症率を追跡しました。その結果、ストレスが非常に高いと答えたグループは、ストレスが低いと答えたグループに比べて、がん全体の発症リスクが約11%も高かったことが示されました。特に男性で、喫煙、飲酒、肥満のある場合に明らかであったそうです。野本先生のおっしゃる通り、ストレスが生体防御の力を落としていることがデータで証明されたのです。

そのメカニズムについては、いくつかの機序が関与していると考えられています。ストレスが慢性的に持続すると、脳と副腎が連携してストレス反応を制御するホルモンが分泌されます。このホルモンは本来、炎症を抑え、血糖を保つことで体を守る役割を果たすのですが、高すぎる状態が長く続くと逆に免疫の調節機能が乱れて、体内の防御システム全体に負荷がかかってしまうため、生体防御力の低下を招いてしまうということです。さらにこうした過剰な刺激によって、炎症に関わるさまざまな免疫物質も過剰となり、炎症が全身に広がってゆくと、細胞の老化や遺伝子損傷の蓄積を招く結果になります。あげくの果てに、遺伝子DNAの修復機能も損なわれ、免疫監視機構も十分に働きにくくなります。結果としてがん細胞の成長に有利な方向へ傾くことになるのです。

ストレスが炎症を生み、それががんにつながるという流れを断ち切るには、生活習慣を積極的に整えることが大切であるといいます。ウォーキングやジョギングといった有酸素運動や、筋力トレーニングのような運動は、体内で抗炎症作用を促進させ、血糖のコントロールも改善します。加えて、内臓脂肪を減らすことも慢性炎症を軽減する上で有効であるとされています。ストレスを完全に排除することは不可能ですが、行動を変え、体を動かし、よく眠り、そして視点を変えることで、ストレスがもたらす心理的負担、生理的負担をも大幅に軽減することができると先生は教えています。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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