NO.348 4月10日【金】=喫煙とがん②=

おはようございます。

昨日からの続きです。喫煙とがんの関連については、これまで欧米を中心に、さまざまな研究によってそのリスクが報告されています。喫煙は確実に肺がんによる死亡確率を押し上げ、また喫煙習慣をやめるのが早ければ早いほど、その確率を下げられるということも分かっています。では日本での研究はどうでしょうか。日本の国立がん研究センターによる多目的コホート研究の結果を紹介しましょう。同研究においても、喫煙と肺がんリスクの関連は詳細に報告されています。この調査では喫煙者の肺がんリスクは、非喫煙者に対して男性で4.5倍、女性で4.2倍に上り、禁煙後10年以上でリスク低下が確認されています。

喫煙は、がんに対する最大のリスク因子であり、禁煙は年齢を問わず有益であるということを見てきましたが、では喫煙ががんの原因になるのは、いったいどういった仕組みなのでしょうか。喫煙ががんの原因になることは、多くの分子生物学的研究が裏打ちしています。肺がんとの関係を調べた研究は多数ありますが、なかでも大阪公立大学などによって行われた「日本分子疫学肺がん研究(JME試験)」では、がんに関する遺伝子KRAS変異が、喫煙本数に比例して発生していることが証明されたといいます。

KRASという遺伝子は、本来 は細胞の「増殖スイッチ」を制御する重要な役割を担っているといわれています。ところが、たばこの煙に含まれる発がん性物質がDNAを傷つけると、このスイッチ部分に誤作動が起き、「止まらないアクセル」のように細胞分裂を促しつづける異常な遺伝子(KRAS変異)に変わってしまうそうです。これが喫煙による肺がんの発症メカニズムのひとつとして考えれれており、この発見により新たな肺がん治療の道が拓かれることを期待したいですね。

以前もご紹介した「がん活」のすすめの著者、川口知哉先生は、アメリカの作家で「トム・ソーヤの冒険」を発表したマーク・トウェインの言葉を引用して、禁煙の難しさと人間の弱さをユーモラスに示しています。

「たばこをやめるなんてとても簡単なことだ。私は100回以上も禁煙をしている。」

マーク・トウェイン(1835ー1910)

多くの人が「やめたい」と思いながら、失敗を繰り返します。それが禁煙の現実なのでしょう。しかし逆に言えば、 これまで紹介した疫学研究が証明しているように、禁煙は100回失敗しても、101回目に成功すればよいともいえます。近年は禁煙外来やニコチン代替療法(NRT)など、社会全体で禁煙をサポートするしくみも整備されてきました。いま、マーク・トウェインの言葉は、禁煙の挫折を笑い飛ばしつつも、それでも挑戦をあきらめなかったことのほうに力点を置いて、読み替えられるべきなのかもしれません。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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