NO.331 3月5日【木】=おいしくなったノンアルビール=

おはようございます。
正式には「ノンアルコールビールテイスト飲料」とよばれるいわゆるノンアルコールビールは、アルコール分1度未満のビールテイスト飲料のことでした。そこに2009年、革命的な製品が登場します。キリンビールが、業界初となる「アルコール分0.00%未満」という「キリンフリー」という製品を発表したのです。従来にはない新しい製法で完全ノンアルコールを実現したのです。

では、どのような製法なのか、まずは従来のノンアルコールビールの製法を検証してみたいと思います。大きく分けて3つの製法がありました。第一の方法は、醸造過程の発酵中に、アルコールがあまり生成しないようにする方法です。たとえば、発酵終了後のアルコール分を低くすべく、酵母が発酵できる低分子の糖分を極力少なくなるよう調整した麦汁を用いる方法があります。また、発酵途中で急冷することにより、発酵を強制的に停止してアルコール分を抑える方法もあります。さらには、通常のビール酵母とは性質の異なる、アルコールを生成しにくい酵母を使用することで、アルコール発酵自体を抑制するような方法もあります。

第二の方法は、通常のアルコール分のビールを水で希釈する方法です。つまり、”薄める”ことでアルコール分を抑えます。第三の方法として、通常のビールからアルコール分を除去する方法があります。特殊な膜を用いてアルコール分だけを選択的に取り除いたり、熱をかけたり圧力を減じたりすることで蒸留器でアルコール分を除去する方法などがあります。

これら三つの方法では、ビールらしい風味を維持しつつ、ある程度までアルコールを低減することはできますが、大きな難点があります。アルコール分1度未満のものはできても、昨今の日本で標準的な品質水準になっている「アルコール分0・00%未満」を満たすことが簡単ではないということです。

そこで、開発されたのが「キリンフリー」が採用した、新しい第四の製法です。「調合」によってノンアルコールビールを製造する方法です。この技術では、基本的には酵母による発酵は行わず、麦汁やモルトエキスなどを原料として、これに糖類や酸味料、甘味料、苦味料、香料等を加え、清涼飲料水のように調合して造り上げていきます。この手法であれば、アルコール分を含まない原材料をうまく組み合わせることで、「アルコール分0・00%未満」の壁を乗り越えることができます。

ノンアルコールビールが登場した直後は、ビール党の方々の支持を得ることはそうかんたんではありませんでした。ところが近年、「おいしくなった」「味がビールに近づいた」といった声が多く聞かれるようになっています。ここに「調合」の技術の進歩が大きく関わっています。日本で造られているノンアルコールビールの多くは、基本的に「調合法」によると思われますが、ビールの香味に対する繊細で精密な分析手法が近年確立してきており、その香味を再現するフレーバリング技術が飲料・香料業界で発展してきたことによる面が大きいと考えられます。

昨今のノンアルコールビールがおいしくなったわけが、この「調合」技術にあったのです。この話題、明日ももう少し深堀りしてみたいと思います。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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