NO.326 2月25日【水】=トランプ関税の迷走=

おはようございます。
世界の経済を混乱させているトランプ関税ですが、2月20日に米連邦最高裁判所が、トランプ政権の看板政策とも言われてきた相互関税について、憲法違反であるという判決を出しました。トランプ大統領は、これまで、国際緊急経済権限法(IEEPA)という法律を根拠に、自らの判断で関税を課す権限があると主張してきましたが、それが司法(最高裁)によって完全に否定されたことになります。最高裁は、IEEPAが関税やその他の税については、まったく言及しておらず、国外の「特異で重大な脅威」に対処するために、貿易を「規制」する権限を大統領に与えているだけだといいます。合衆国憲法では、関税に関する主たる権限を大統領ではなく議会に与えていると指摘、国民の資産を徴収することの重大性を理由に、憲法起草者たちは、議会だけにその権限を認めていると最高裁のロバーツ長官は説明しました。

今回の最高裁の判断に対し、トランプ大統領は24日付ですぐさまに対抗策を打ち出します。違法判決をうけて無効になった相互関税に代わって、別の法律を根拠とする新たな関税を発動しました。税率は一律10%ですが、この根拠となる通商法122条は、「大規模かつ深刻な」国際収支の赤字がある場合、大統領の裁量で最長150日間の関税を課すことができることを認めているといいます。昨日発表された新しい税率は10%ですが、その条文には、15%まで上限を引き上げが可能とあるようで、これを適用する意向を示しています。さらにトランプ政権は、この新関税を「つなぎ」と位置づけ、150日の期限が切れる前に、別の通商法301条に基づく関税発動も検討しているといわれており、その場合に必要とされる主要貿易相手国への、広範な分野での調査も実施する準備を進めるとしています。

日本は、赤沢大臣を中心に幾度となく交渉を続け、5500億ドル(80兆円)の対米投資と引き換えに相互関税については15%で昨年決着を見ましたが、結果的に前提であった相互関税は無効になり、義務だけが残った形です。ただし、新たな10%の関税が今後15%に引き上げられるのか、また150日の期限が過ぎたあと、どのようになるのか全く先が見通せない状況が続く中では、対米投資の見直しについても、不用意な行動はとれない状況ゆえ様子見が続くものと思われます。3月に訪米予定の高市総理との日米首脳会談で、関税と対米投資についても当然話し合われることになると思われ、それまでに事務方での調整がどこまで進められるかが焦点になりそうです。ただし、自動車やアルミ、鉄鋼などの分野別関税については、相互関税とは別の法律によるため、一連の新関税の影響はないといわれています。

今回の米連邦最高裁の判断は、トランプ大統領のある種暴走を抑える司法としての機能が発揮されたと見る向きも大きく、民主主義を支える三権分立の原則が果たされているとも言えます。中国やロシアのような独裁を許さない、自由な米国の民主主義がまだまだ健在であることが示されたことに、一様に世界は安堵したのではと思います。一方で、トランプ政権としては11月の中間選挙に向けて、かなりの焦燥感が顕わになったとも見られ、トランプ流がこの先どこまで通用するのか、思わぬ方向で新たな巻き返しを図るのか、最も恐れるのは、緊張が高まっているイランや中国との対立が激化する方向に行けば、大きな戦争に発展する懸念も否定できず、世界はこれからもトランプ大統領の一挙手一投足に振り回されることがしばらくは続くのだろうと思われます。

日本は、米国に必要以上におもねることなく、毅然とした立場で、しかし緊密な関係をもつ同盟国として、独自の視点で世界の平和、世界経済の健全性をこれからもしっかりと主張して行ってほしいですね。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いしまうす。

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