NO.281 11月21日【金】=牡蠣は不漁もカニは豊漁=

おはようございます。

長く続いた猛暑の後、秋が足早に過ぎてもう冬の寒さが到来している日本列島ですが、この気候が影響しているのか、各地で様々な異変が起きています。それは私たちの食卓にも大きな影響が及びそうです。この時期、一番の楽しみは冬の味覚という人も多いでしょう。その代表格ともいえる牡蠣とカニが大変なことになっています。

まず、牡蠣は広島をはじめ瀬戸内の3県で全生産量の7割以上を占めると言われていますが、その牡蠣が大変な状況になっています。ニュースでも報道されていますが、鈴木農林水産大臣が緊急に広島の牡蠣養殖の現場を視察し、政府としても対策を講じざるを得ないと言います。ほとんどの牡蠣がへい死と言って、死んで殻から抜け落ちてしまっている状態です。そのへい死率が9割にのぼると言いますから、漁師さんたちにとっては死活問題になっています。海のミルクともいわれ栄養が豊富で、生でも焼いても、そして煮たり揚げたりしても、とても美味しい冬の食材が、今年は壊滅状態に陥っていると言いますから、業界はもちろん私たちの食卓にも大きな影響が出そうです。

一方で、北海道や日本海でも異変が起きています。こちらは例年にない豊漁となっているカニです。この時期松葉ガニ、越前ガニといったブランドが有名ですが、北海道から北陸、山陰にかけてズワイガニの豊漁が期待されています。福井県の資源調査によれば、過去10年で最大の漁獲量が期待されており、しかも生育も非常によく、おいしいカニがお安く食べられるといううれしい状況だそうです。しかしながら、これは今シーズンに限ったことで、来年以降は大幅に漁獲量が減るとの懸念が出ており、こちらも漁師さんたちにとっては、大きな問題になりそうです。

こうした水産物の漁獲量の変動の原因について、さまざまな機関が調査を始めていますが、以前もお話したサンマの大漁や、イカの不漁など日本の近海で起きている異常現象は、その多くが気候変動、温暖化と密接に関係していると言われています。牡蠣の場合は、明らかに海水温の上昇と台風などが少なかった今年の天候に大きな原因があると推測されています。水温がずっと高いままの状態が続き、これにより温度だけでなく、塩分濃度も上がっていたこと、さらに台風がなかった分内海で海水がよどんでしまい、海底近くは酸素が欠乏していたことで、大量死につながったと言います。牡蠣は3年ほどかけて養殖していますので、今シーズンの不漁は、来年にも大きな影を落とすことになりそうです。

ズワイガニについては、こちらも気候変動による海流の変化がやはり原因と推測されています。カニの場合は10年ほどかけて成長しますので、今年の豊漁は10年前にふ化したカニの赤ちゃんが、大量に暖水渦に運ばれてそれぞれの生息域で成長した結果であると分析されています。しかしながら、過去10年で暖水渦は弱まる傾向にあり来年以降はカニの漁獲量が大きく減少していくことが予想されています。これも日本近海の海流、特に黒潮の蛇行が原因のひとつとして挙げられており、やはり気候変動と直結していると考えるべき問題のようです。

気候変動がもたらす変化、特に日本は四方を海に囲まれた島国ですから、気候の変化によって海の状態が変れば、水産業に大きな影響があるのは想像にた易いことです。そしてそれは私たちの食生活にも大きな変化をもたらします。コメ問題も含めて日本の食文化が大きな転換点に来ているのかも知れません。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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