おはようございます。
昨今、複数の薬を服用することによって発生する「ポリファーマシー」が問題となっています。ポリファーマシーとは何か? その定義と問題背景、解決するためにできる取り組みについて考えてみたいと思います。ポリファーマシーとは、「害のある多剤服用」を意味する言葉です。重要なのは「害のある」という部分。単純に「服用する薬の数が多い」ということではありません。必要とする以上の薬や不要な薬が処方されていることによって、有害事象のリスク増加や、誤った方法での服薬(服薬過誤)などの問題に繋がる状態を指します。
薬による有害事象(薬物有害事象)は処方された薬の数に比例するとされ、薬の数が6種類を超えると発生頻度が大きく増加というデータを、日本老年医学会が発表しています。ポリファーマシーが発生してしまう背景として、急速に進む日本の高齢化があげられます。2015年に日本調剤株式会社が実施した「シニア世代の服薬の実態と意識」の調査では、高齢者の約半数が2ヶ所以上の医療機関に通っており、5種類以上の薬を処方されている人が最も多いことがわかっています。
また、薬の副作用や有害事象を抑えるために新たな薬を処方し、その新たな薬の副作用を抑えるためにまた別の薬を処方……というように、薬物有害事象を新たな薬で対処し続ける「処方カスケード」も、ポリファーマシーを形成する可能性が高いとして問題になっています。ポリファーマシーの問題は、患者にとって有害であるだけでなく、多くの薬が処方されるということは、国民医療費の増大にも繋がります。そのなかでも調剤医療費に注目してみると、2000年から2018年にかけて2.5倍以上にも増え、2018年度には国民医療費全体の17.6%を占めています。
最近特に問題が増えているのが、関節リウマチや気管支喘息などの治療に使われるステロイド薬です。その副作用で血圧を上昇させるクスリが数多く潜んでいます。更年期障害の治療薬、さらには経口避妊薬として処方される女性ホルモンのエストロゲンも、高血圧を引き起こしやすいと言われています。また免疫機能を抑えることでアトピー性皮膚炎や関節リウマチを治療するシクロスポリンやタクロリムスなども、交感神経を刺激して高血圧をもたらす副作用があるので、注意する必要があります。さらに抗うつ剤であるイフェクサーSRやトレドミンといった薬にも、血圧を上昇させる副作用があると言われています。
上記のとおり、副作用として血圧を上昇させるクスリだけでも挙げればきりがないくらいあります。高齢になると、複数の疾患と同時に付き合わざるを得ないため、飲むクスリの種類は自然と増えていきます。とりわけ、高血圧のように慢性的で長期のケアが必要な病気は、クスリを飲み続ける期間も長くなるため、ポリファーマシーに陥りやすいということです。
処方されたクスリを私たちが素人判断で減らしたり服用を止めることはやはり危険が伴います。まず自身の身を守るためには、受診の際にお薬手帳を忘れずに持参する、かかりつけ薬局を持つことで複数の医療機関を受診していても薬の管理を一元化してもらうなど、使用している薬について積極的に医療従事者との情報共有をおこなうことは大変重要です。そして究極的には、クスリに頼らずに症状を改善することが出来れば、それが最も望ましいことであり、決して難しいことではないと考えます。私たちには、強い味方「サステナ」があるのですから。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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