おはようございます。
今日のテーマは、私たち健康食品を扱う者とっては、非常に重要な問題を含む大変大きなテーマですが、この二つの違いと区別を明確に示すことは、なかなか難しいというのが実情です。まず私たちが日々口にするものには、さまざまなものがありますが、法律的には医薬品というカテゴリーとそれ以外という区別がなされ、医薬品以外はすべて食品と言う扱いになっています。つまり医薬品だけは特別扱いで、それ以外の口に入るもものはすべて食品の範疇で法律は管理しているということです。ただし、煙草は食品ではなく医薬品でもない、唯一の例外のようです。
一般的なイメージとしては、食品は栄養を摂取するためのものであり、医薬品は病気やけがを治すためのものという理解ですが、実際にはそれだけでは判断がつきにくい場合が往々にしてあるというのが現実です。法律上の区別としては、医薬品とは疾病の診断や治療、予防を目的としているものとされており、食品とは「医薬品等を除くすべての飲食物」となっています。食品の定義がずいぶんと大雑把なくくりになっていることが、よくわかります。法律では、薬以外で口に入るものはすべて食品という捉え方をしているということです。
しかし、歴史的に考えれば中国由来ではありますが、医食同源と言う言葉に示される通り、日本には薬も食事も健康を維持するためのものとして根本は同じであるという思想があります。日常の食生活に気を配ることが一番の病気予防につながるという考え方です。また現代においては、食品の機能と言うものが少しずつ見直されてきた結果、食品の中にも医薬品のような効能を一部認めようという考え方が広がり、法律上の解釈として、1990年代に保健機能食品という新しいジャンルを認めることになりました。具体的には特定保健用食品(トクホ)やその簡易版としてできた機能性表示食品と呼ばれるカテゴリーです。しかし、その位置づけは従来の食品と医薬品のちょうど中間に存在するものとして一般的には理解されているようですが、法律はあくまで食品の中の分類であり、医薬品との境界線を越えたわけではないというのが法律の建付けになっています。
そしてこの法律の建付けと、私たち消費者の理解、もしくは期待?とのギャップが実は現在も大きな問題として現存しており、さまざまなトラブルの元凶になっていると考えています。それが「いわゆる健康食品」の抱える積年の問題なのだと思います。「いわゆる健康食品」という言い方自体が物語っているように、健康食品と言う言葉は法律上には定義がありません。したがって官公庁が発する公文書には、必ず「いわゆる健康食品」という表現になっており、法律的には健康食品に市民権はないということです。
すべての物事には、連続的な変移が存在しています。白黒つけると言っても、それは概念的なことであり、必ずその間にははっきりした境界はなく、連続的につながっているのが現実の世界です。かならずグレーゾーンがあり、しかもそこはグラデーション(勾配)で連続しているというのが実際だと考えます。それは食品と医薬品の間にも言えることであり、そこに法律が無理やりに境界を設けていることが、おそらく薬事に関わる問題の根本であると思います。そしてこの問題をさらに大きくしているのが、前述した法律の建付けと、私たち消費者の一般的な理解に乖離が大きいことです。
具体的に言うと、私たちの身体は毎日の食べ物によって作られ日々維持されているわけで、食品と一口に行っても、栄養補給、嗜好的な満足感、そして身体機能の調整と言った様々な役割があることが分かっています。そしてこの三番目の身体機能の調整こそが、保健機能食品の出発点となる概念で、健康維持という観点から言えば、医薬品と同等もしくはそれ以上に重要な役割を持っている考え方なのだと思います。簡単に言えば医薬品はいざ事件が起きた時にこれを解決する任務を負う特別部隊であり、普段の見回りや予防を含め現状(健康)を維持するのが、毎日の食事を担う食品の役割であるべきと考えます。そしてそれが最もシンプルで自然な流れだと思います。
ところが、医薬品の法的な定義には、疾病の診断や治療、予防を目的とするものという形で、「予防」というカテゴリーまで包含させてしまっていることが元凶です。たしかに予防接種やワクチンなどは、特定の病気を予防する有効な手段ですが、それと同等以上に食品にも私たちの身体を病気から守る、まさに予防の意義が大きいことをきちんと評価し、法律の上でも認めることが大切なのです。保健機能食品の考え方によって、そこは一部認めようという動きにはなりましたが、しかし医薬品との境界、医薬品サイドの法律上の壁は実は1ミリも動いていないと言えます。この医薬分野の権益を守ろうという強い力が、日本の場合は非常に強力に働いているのも事実であり、これが逆に消費者の利益を損ねている原因ではないかと考えています。
ちょっと話が概念的でわかりにくなってきましたので、明日はもう少しわかりやすく解説したいと思います。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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