No.21 6月12日【水】=本当の老化=

おはようございます。

昨日は、精神科医で老年医学の専門家として有名な和田秀樹先生の著書から、夫婦関係や人間関係をうまく取り持つ魔法の呪文「まっ、いっか」をご紹介しましたが、もう一つ話題として和田先生が、その著書で述べておられる「本当の老化」という現象について、考えてみたいと思います。

50代を過ぎ、60代、70代になれば、若い頃には当たり前にできていたことが、だんだん難しくなってきます。それが老いのサインであることは、誰しもが経験することです。最初のサインは、まず視力に現れます。小さな文字が読みづらくなります。気がつけばスマホの画面をうんと目元から離してピントを合わせようとしてしまいます。間違いなく老眼が進んでいます。老眼になると文字や画像がぼやけてしまい、情報のインプット量がガクンと減ってしまいます。これは、目の筋力の衰えです。

記憶力も同じです。以前は意地でも口にしなかった言葉を、つい口走ってしまいます。いや、口走りたい言葉そのものを思い出せなくなる瞬間も増えます。「あの映画、良かったよねえ。ホラ、なんだっけ、ホラ。あの女優が出ていた、あの女優だよ、ホラ、何て名前だっけ?」 聞き手にしてみれば全くノーヒントの会話になっていたりします。友人、知人、有名人、以前はよどみなく出てきた人の名前も、たびたび思い出せなくなる瞬間に遭遇します。これは想起力の低下という現象です。

こうした現象は、あたかも機械部品が摩耗するようなもので、物理的な現象であり、程度の差こそあれ、誰しも受け入れざるをえない劣化現象なのだと言います。これまでの人生でたくさんの物事を記憶してきた結果、脳の中のが洋服でパンパンに膨らんだクローゼットのような状態になっていて、どこかにしまった記憶はあるのに取り出したくても取り出せなくなっているのです。

しかし、和田先生はこうした加齢による肉体的な衰えとは別のところで、本当の老化は始まっていると言います。本当の老化とは、脳の中の前頭葉の機能が衰えることだと、先生は指摘しています。前頭葉の主な役割は、感情や意欲をコントロールすることと言われています。つまり前頭葉の機能低下によって、感情や意欲が劣化してしまうことが本当の老化の始まりなのだと言います。

老眼で小説が読みづらくなったり、俳優の名前が思い出せなかったりもさることながら、それ以上に、小説を読んでも映画を見ても、若い頃のように「血沸き肉躍る」ような感動を味わうことが減っている。それどころか、読みたい、観たいという意欲も衰えてくる。これが本当の老化であると先生は言います。肉体的な老化は、器具や道具を使えばいくらでも補完できますが、前頭葉の老化が進むと、生きる意欲に直結しているだけに、肉体的な老化すらも促進してしまうのだと思います。

ではこの前頭葉の老化を食い止める方法はあるのでしょうか。ズバリ和田先生は、「これまでに経験したことがない新しい経験をすること」であるとアドバイスしています。感情が揺さぶられ、意欲が沸き起こるような新しい体験をすれば、前頭葉も活性化されると言います。前頭葉は想定外のことに対応する脳だとも言われているからです。

前頭葉を鍛えるためのトレーニング、それは本や新聞を読むことではありません。脳トレや数独に励むことでもありません。訪れたことのない場所に行って、人生でこれまで見たこともなかった素晴らしい景色を眺める。あまり縁のなかった演奏会に足を運んでみて、これまで聴いたことがなかった音楽に触れてみる。馴染みの友達ではなく、新しく初めて知り合った人と、いつもはいかないような洒落たレストランに行ってみる。私たちはこうした「未知の世界」に触れた時に、「いったいこれは何なのか」と、好奇心を揺さぶられ、前頭葉が働くのです。今日から、新しいことを初めて、前頭葉を活性化させる生活を心がけて行きましょう。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

コメント

  1. 中原ミチ子 より:

    今日も、素晴らしいお話しでした。

    サステナ飲んでいる仲間に、メール送った方が良いか否か確認しました所、⭐️サステナ日記⭐️
    楽しみに、読んでいますとの事でした。
    私も、とても学ばせて頂いています。