NO.433 10月9日【金】=ノーベル化学賞受賞=

おはようございます。
先日紹介した睡眠学の権威で今年のラスカー賞を受賞した、筑波大学柳沢正史教授は残念ながら今回のノーベル賞受賞はなりませんでしたが、ノーベル化学賞に東京理科大学の硤合憲三名誉教授が選ばれることになりました。今年も日本人のノーベル賞受賞者が生まれたことは、日本の科学者のレベルが世界的にも非常い高いことを証明する出来事であり、大変名誉なことであると思います。

今回の硤合憲三氏のノーベル化学賞受賞理由は、「不斉有機合成における非線形効果および自己触媒作用の発見」とされていますが、なかなか素人の私たちにはとても分かりにくい内容で、ニュースなどでは、触媒を使って分子を作り分ける化学反応において、特定の型のものを自己増幅させてゆく特殊な反応を発見、開発したなどと説明されていますが、それでも正直チンプンカンプンです。そこで化学や生物学に詳しくなくても理解できる解説がないかいろいろ調べてみました。

まず今回の受賞は、今後新しい素材や、新たな薬をつくるための技術にも利用される画期的なものではあることは言うまでもありませんが、それにとどまることなく、もっと根源的な、「私たち人間をはじめとする生物が、なぜいまこの姿で存在しているのか」という、生命の哲学的な問いに対して、化学の言葉で答えを示した、歴史的な快挙であると言われています。

では、具体的には何を見つけたのかということですが、ここから少し化学の用語が入りますが、自然界に存在するさまざまな物質には、同じ化学的な構造を持ちながら、ちょうど鏡に映したように左右が反転している構造を持つ物質がたくさんあります。例えばタンパク質を構成しているアミノ酸や、糖類には、こうした右手と左手のように、左右が反転した「鏡像異性体」というものが存在します。しかし、生物の体内にはこれらのうち片方しか存在しません。こうした偏り、非対称性と言いますが、それがなぜなのかはずっと謎でした。

この非対称性を理解せずに起きた事故が、サリドマイド鎮静剤の薬害です。製造工程である化学反応では、自然と右手のタイプと左手のタイプが両方半々にできてしまいますが、物質としては同じだと考えられていたので、そのまま医薬品として利用されていました。しかし、実は治療効果を発揮するのは一方だけで、もう一方は役に立たないどころか、有害な副作用を引き起こしていたのです。

こうした鏡像異性体が、自然界にはほぼ半々で存在するのに、なぜ生物の体内では一方だけしか存在しないのか、働き方が違うという事実はわかっても、どうしてそうなるのかその真相は、実は未だに謎の部分が多いのですが、硤合氏の発見はその理由や意味を解くカギとして、なぜこのような非対称性・偏りができるのかというプロセスを化学的に解明し、実際に事象として再現させたことにあると言えます。つまり生命の謎そのものを解明したのではなく、それを解くカギとして化学の分野からこうすればその現象が起こるということを実際に示して見せたことが大きな意義を持つのではと考えます。

硤合氏は、受賞の記者会見で「人間にしかできない根源的な興味追求が大切である」と語っています。すぐにはお金や役に立つか分からなくても、純粋な好奇心から始まる「基礎研究」こそが、数十年後に世界をひっくり返すような大発見へのつながると言います。歴代の日本人受賞者の研究を見れば、その一つ一つの発見の上に私たちの豊かな現代社会が成り立っていることがわかります。これから科学を学ぶ学生や子どもたちの中から、硤合氏のような知的好奇心にあふれた次世代の開拓者が誕生することにぜひ期待したいですね。

きょうも一日サステナ飲んで頑張りましょう。
よろしくお願いします。

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