NO.379 6月16日【火】=日本がリードする疲労研究②=

おはようございます。

疲労を美徳として、お互いを「お疲れさま」と称えあえる特異な国だからこそ、日本の疲労研究は世界のトップを走っているのかもしれないと、先週お話しました。東京慈恵会医科大学の近藤先生の著書「疲労とはなにか~すべてはウイルスが知っていた」から、疲労について興味深い研究成果についてご紹介しています。 

まず疲労を科学的にとらえ、その度合いを数値として測定するために、近藤医師たちは「口唇ヘルペス」というウイルスに着目しました。「疲れるとヘルペスが出る」という現象は、潜伏感染していた単純ヘルペスウイルスが、私たちがひどく疲れたときに再活性化して、口唇ヘルペスという発疹をつくることによって起こるのです。そして唾液中のヘルペスウイルス量を測定することで、世界に先駆けて「疲労」を数値化することに成功したのです。さらに近藤医師たちは、疲労が、体内で産生された炎症性サイトカインという物質によって引き起こされていることを解明しています。炎症性サイトカインとは、その名の通り、体内の末梢の組織(臓器や筋肉)で発赤(血流が増えて赤くなる)、熱感(熱を持つ)、疼痛(痛みがある)、腫脹(腫れる)などの「炎症」が生じたときに細胞から分泌される「サイトカイン」と呼ばれる小さな分子のタンパク質のことです。 

炎症性サイトカインが産生される目的は、通常の場合は、炎症を起こす原因となるものを取り除くことです。炎症は微生物の侵入や出血による組織破壊によって起こることが多いのですが、炎症性サイトカインはマクロファージ(貪食細胞)などの免疫細胞を集めて、外敵を攻撃し、破壊された組織を掃除する働きをします。簡単にいうと、異物を認識して除去する「免疫反応」を生じさせるのです。

炎症性サイトカインが疲労感をもたらすことは、これまでに行われた多くの実験や臨床での観察から、確かなことだと考えられています。たとえば、疲労感のもとになる筋肉の運動で炎症性サイトカインが産生される、疲労感が強いことで有名なウイルス性肝炎では肝臓で炎症性サイトカインが大量に生じる、動物のウイルス感染モデルでは炎症性サイトカインが疲労現象を起こす、炎症性サイトカインを投与した動物が疲労のような症状を呈するなど、非常に多くの証拠が挙げられています。 

少しお話が難しくなってきましたので、このあたりにしておきたいと思いますが、疲労のメカニズムは免疫システムのメカニズムと非常に共通する点が多く、疲労の度合いの測定には唾液中のヘルペスウイルスの量を測ることでとらえることが出来たり、疲労や疲労感を生み出している原因物質として、炎症性サイトカインが関与していたりと、まさに免疫の調整を担っている物質が深く関わっているという事実です。つまり疲労とは、免疫システムの機能低下を示す警告ともとらえることができるのではと考えます。疲労の蓄積が免疫力の低下を招き、感染症や多くの疾病の原因につながるというのは、想像に容易いことです。そのメカニズムを科学的に解明したのが、近藤医師たちの研究であり世界で評価されている理由であると考えます。 

今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。

よろしくお願いします。   

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