おはようございます。
先週からの続きです。日本の慢性腎臓病患者は2000万人以上と推定され、成人の5人に1人が腎臓に疾患を持つ時代になりました。老化にともなって腎臓は小さく、軽くなります。腎臓の表面にある皮質という部分が萎縮し、これにともない、老廃物を除去するための糸球体という組織が減少します。原尿の再吸収などを行う尿細管が萎縮して、間質が拡大すると同時に線維化が進行します。そのため、見た目だけでなく機能についても変化が起こり、再吸収能力の低下なども起こります。加齢とともに減少し、再生することのない腎臓。365日24時間休むことなく、全身の各器官のはたらきを裏で支えている腎臓。じつは、日本では人口透析に毎年1兆円以上が使われているそうです。
先週のリンに加えて、腎臓に負担をかけるのが、調味料などに含まれる塩分と糖質です。スーパーなどの棚には、所狭しと減塩や糖質カットといった調味料、加工食品が並ぶようになりました。まず、減塩のポイントは塩分、つまり塩化ナトリウムを減らすことにあります。スーパーで売られている塩の中でもっとも安いのは精製塩ではないでしょうか。これはイオン交換膜を使って海水から塩分だけを効率的に集めたもので、ほぼ100パーセントが塩化ナトリウムです。サラサラとしているので料理には使いやすいのかもしれません。そのほかに、海水を濃縮させる、古くからの製法で作られた塩もあります。海水のミネラルがほとんど残っているわけですから、塩分のほか、カリウムやマグネシウムなども含まれています。精製塩を使っている方は、古くからの製法を採用した塩に置き換えると、塩分が減らせ、それだけでも減塩につながります。また、減塩には、「しょっぱい」という塩味だけに頼らない味付けが役立ちます。カツオ節や昆布などの出汁(だし)の旨味(うまみ)、レモンや酢の酸味、それにスパイスの辛味などを上手に利用すると、おいしく減塩できます。
糖質を減らす場合も、血糖値を上げない点を重視して、調味料の砂糖を検討しましょう。食卓でなじみ深いものは上白糖で、成分の90パーセント以上はブドウ糖と果糖が結合した二糖類のショ糖が占めています。一方、野菜のビート(テンサイ)から作られるてんさい糖や、精製をほとんどしていない黒糖などには、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛なども含まれています。たとえば、上白糖とてんさい糖を同量使ったとしても、含まれているブドウ糖についてはてんさい糖のほうが少なくなり、糖質を減らすことにつながるのです。
血糖値を上げない点では、野菜や果物を大きくカットすることも効果的です。一時期、「スムージーは健康にいい」といわれていましたが、血糖値の観点では逆効果です。野菜などはミキサーにかけず、大きく切って料理に使うほうが血糖値の上昇は穏やかなのです。また、食物繊維は胃にとどまる時間が長いので、食事の最初に食物繊維を摂っておけば、あとで糖質が胃に入ってきても消化・吸収のスピードが抑えられます。ですから、食物繊維が豊富な野菜や海藻、豆などを、ご飯やパン、麺類の前に食べましょう。食物繊維は糖質を吸着するので、腸でのブドウ糖の吸収も遅らせます。
人生100年時代を生きるためには、腎臓に限らず私たちのひとつしかないカラダを、永く大切に使ってゆくためのケアとメンテナンスが大切であることは言うまでもありません。生活習慣病といわれる多くの疾患は、まさに生活の習慣、中でも食習慣が大きな要因であることは間違いない事実です。食習慣の見直しが健康への第一歩であり、病気予防の基本ではありますが、ただしあまりに厳格になりすぎるのもかえってストレスになり逆効果です。程よい塩梅で美味しく楽しい食生活を目指す工夫として、サステナも大いにお役に立てるはずです。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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