おはようございます。
五大栄養素のひとつであるタンパク質って、最近特に話題に上ることが多くなりました。高齢者は積極的にタンパク質を摂ることを厚労省も推奨しており、一日25g~30gを食事で摂ることを目安にと呼びかけています。タンパク質と言えば、具体的な食品として思い浮かぶのは、肉類(鶏肉、牛肉、豚肉)や魚類(特に青魚)ですが、豆腐や納豆なども良いタンパク質源ですし、卵や乳製品(ヨーグルト、チーズ)もタンパク質を効率的に摂取できる食品です。高齢者向けに昨今よく紹介されているのは、スムージーやプロテインパウダーと呼ばれる製品で、嚙む力飲み込む力に自信がない人にも安心して簡便に摂れることから、人気が高まっています。
昨日も話しましたが、5大栄養素にはタンパク質以外に、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなどがありますが、中でもタンパク質は筋肉、皮膚、髪、爪などの体の組織の成長と修復に欠かせない栄養素であり、また抗体や免疫細胞の一部もタンパク質が材料になっているため、免疫機能を高める役割も担っています。さらに必要に応じてエネルギー源としても利用され、カラダのあらゆる場所で重要な役割を担っています。一言でタンパク質と言っても、その種類はほぼ無限にあり私たちの体内に存在するだけでも、10万種類以上あると言われています。それだけ多種多様なタンパク質が私たちのカラダの生命活動をささえており、いろいろな役割を持って日々働いてくれているといいます。まさにタンパク質こそが、私たちの生命の活動を担っているオペレーター(操作者)と言っても過言ではありません。そして炭水化物をはじめとする他の栄養素は、オペレーターが適切に作業を行うための動力源(炭水化物・脂質)であったり、作業を円滑にする道具(ビタミン・ミネラル)としての役割を果たしていると考えるとわかりやすいかも知れません。
いずれにせよ、タンパク質は生命活動の主役であることは間違いなく、それは私たちの遺伝子が実はタンパク質の設計図であるという事実を見ても明らかです。遺伝子にかかれた10万種類ものタンパク質の設計図に基づいて、必要な時必要な場所で必要なタンパク質がつくられ、これが私たちの生命活動を担っているのです。私たちが日々健康に生活できているのは、たくさんの種類のタンパク質が24時間体制で、カラダの中のさまざまな作業を担ってくれているからなのです。
タンパク質は、なぜそんなに多芸多才な能力を持っているのでしょうか。これは他の栄養素にはない特徴ですが、その能力の源は、タンパク質の構造にあります。タンパク質を化学的に分析すると、20種類のアミノ酸と呼ばれる物質で構成されていることがわかっています。そしてこの20種類のアミノ酸をどのような順番で並べて繋いでゆくかというのが、私たちの遺伝子に設計図として記録されているのです。アミノ酸の種類と順番を書いたのが遺伝子という生命の設計図という事です。生命の神秘、その活動は未だに解明されていない分野が多い中で、その生命活動の根本である遺伝子は、たった20種類のアミノ酸の配列を記した、非常に簡単で単純な設計図であったという事が1953年に、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックという二人の生物学者によって発見されたのです。これは20世紀最大の発見の一つであり、二人はノーベル賞をはじめ多くの称賛を受けることになります。
この20種類のアミノ酸の配列によって、タンパク質はとても複雑で多様な立体構造を形成しています。アミノ酸は炭素(C)水素(H)酸素(O)そして窒素(N)という4種類の元素で構成される分子構造を持っていますが、これが連なることで、その構成要素である元素同士が電気的に引き合ったり、あるいは反発する力で、アミノ酸がつながった鎖があちこちで折れ曲がります。これにより、まるで糸がもつれて絡まるように立体構造を形成するのです。そしてその立体構造が、タンパク質の種類を決め、役割を決定してゆくのです。
では、この多種多様な立体構造を持つタンパク質が、私たちのカラダのなかで、どのように働き、生命活動を行っているのか、次回以降もこのお話をもう少し続けてみたいと思います。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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