NO.143 2月13日【木】=USAIDの解体=

おはようございます。

昨日に続き、もう一日だけトランプ大統領の話題です。トランプ氏は大統領就任するやいなやUSAID(合衆国国際開発庁)の解体を指示しました。2月7日付で1万人にものぼる全職員に休職を通知しました。最終的には全職員を解雇するつもりであるとのことです。USAIDと言っても、私たちにはあまりなじみのうすい米国の政府機関ですが、国務省の管轄下で独立機関として世界の発展途上国に対する経済援助と人道支援を行っており、その支援対象は200か国以上に及び、15,000件以上のプロジェクトが進行中と言います。日本にも拠点があり、東日本大震災をはじめ、大きな災害時には何度も支援活動を受けていると言います。

では、なぜ今回トランプ大統領はUSAIDの解体を指示したのでしょうか。トランプ大統領は一期目の政権でも、対外支援事業に懐疑的な姿勢をとっていましたが、アメリカファーストを謳うトランプ戦略には対外支援はそぐわないと判断したと言います。確かに米国の税金を使っいるという点では、対外支援より自国民の生活向上に優先的に使うべきとの考えもあるようですが、USAIDは1961年に当時のケネディ大統領によって設立された機関で、長きにわたり世界の発展途上国への支援を通じ、貧困の削減、経済成長の促進、民主主義の推進、そして人道支援を行ってきた機関です。米国が世界の発展において多大な貢献を果たしてきた事業の一つと言っても過言ではないと思います。

しかし、一方で支援先の国々の体制との政治的なつながりに利用されたり、交渉材料になるケースもないとは言えず、いわゆる汚職事件や不透明な資金が問題視されることもあったようです。トランプ大統領はこうした点を指摘し、解体を決断したと言います。でもよく考えると、こうした相手国政府やNGOへの影響力を利用してきたからこそ、これまで米国が世界の覇権を勝ち得てきたのだとも言えます。そして現在は米国がかつて実行してきた手法を中国が、もっとあからさまで直接的な方法で、言葉は悪いですが金にものを言わせる形で、途上国の支援とは名ばかりに、実効的支配を広げようとしているように見受けられます。

今回の解体宣言は、関係者にとっては非常にショッキングなものですが、これもトランプ流なのかもしれません。USAIDが解体されれば、そのインパクトは非常に大きいのは事実ですが、現状の支援活動がすぐに止まるわけではないと思います。上部組織である国務省に統合される形で、必要な事業はそれなりに継続が検討されるでしょうし、現場の作業をすべて止めるということにはならないと思います。解体によって無駄な予算が削られ、また不透明な支出が抑えられることは大いに歓迎すべきことですし、そこにメスを入れることがトランプ氏の本当の目的なのだろうと思います。最初に強烈なジャブを入れておいて、相手を動揺させ交渉事を有利に進めてゆく、まさにトランプ氏の常套手段であり、日本も翻弄されることのないようしっかりと腰を据えて対応すべきなのだと思います。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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