おはようございます。
昨日からの続きです。生物のカラダのさまざまな機能調整を司っているのがホルモンと呼ばれる内分泌物質で、人間をはじめとする動物だけでなく、植物においてもホルモンが根や葉といった器官の成長をコントロールしたり、次世代に子孫を残すための生殖行動までホルモンによってコントロールされていること、そしてホルモンの研究と利用は、医療分野よりはるかに農業や林業といった植物の世界の方が進んでいるというお話でした。
特に生殖に関しては、挿し木や接ぎ木、細胞培養からクローン再生まで、品種完了の一環としてさまざまな技術が古くから実用化され、日常的に利用されています。日本人の心の拠り所とも言うべき桜は、ソメイヨシノという種が全国に数百万本植えられていますが、ほぼすべてクローンであり、まったく同じ遺伝子をもっています。だからこそ、気候条件が同じであれば例外なく一斉に花を咲かせることができるのです。
人間や動物の世界では、まだまだこうした技術は発展途上であり、ようやくiPS細胞が実用化されようという段階まで来ましたが、クローンつまり、ある個体から同じ遺伝子をもつコピーをつくること自体が、まだまだ倫理的な制約もあり、思うように研究すら進められないということがあります。確かに人間のコピーができれば、スペアパーツとして利用できる再生医療には好都合かもしれませんが、一卵性双生児が何人もできることにもなり、命の取り扱いや個人のアイデンティティーをどう考えるか、難しい問題が山積みになっています。
ホルモンのはなしから少しそれてしまいましたが、そのクローン技術の核心ともいえる、体細胞からさまざまな組織や器官に分化し増殖する能力を持った起源的な幹細胞を作り出す技術が、植物の世界ではずっと以前から確立されており、そのカギを握るのがホルモンであることが分かっています。人間でいうiPS細胞が植物の世界では、植物ホルモンを調整して作成されており、これを分化成長させて新たな個体をつくるクローンは日常的に行われている実用化された技術なのです。
もちろん植物と動物では、同じ生物であってもその仕組みも生態も違いますので、同じように考えることはできません。動物には神経や筋肉といった植物にはない伝達の仕組みと能動的に動ける機能がありますから、内分泌物であるホルモンだけですべてを制御している植物とは事情が異なります。しかしながら、動物のもつ神経組織や筋肉組織も、その継ぎ目では神経伝達物質と呼ばれる物質が橋渡し役を担っており、これも一種のホルモンであることが分かっています。
このように考えてくると、植物も動物も、私たち生物のカラダやその機能、行動を制御し調整しているのは、実はホルモンの働きであるといえるかもしれません。そしてそのホルモンの研究が進んでいる植物の世界での実績をもっともっと活用できれば、私たちの抱えるさまざまな問題、特に健康にかかわる問題にも新しい解決策が見えてくるのではと思っています。先端的な研究が進むほど、専門性が高くなり視野が狭くなるのはよくあることです。いま一度視点を広げて全体を俯瞰することも、時に必要なことであると思います。
今日も一日頑張ってゆきましょう。
よろしくお願いします。

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