おはようございます。
牛乳をはじめ、ほ乳類の出生後の成長を支える母乳(ミルク)を構成する重要な栄養素であるタンパク質のカゼインについて、昨日はその具体的な生理活性や生体調整機能についてお話してきました。牛乳のタンパク質の8割を占めるカゼインは、私たちのカラダの血や肉の元になる重要な栄養素としての働きに加えて、カゼインが消化分解される過程において、ペプチドと呼ばれるアミノ酸が数個から数十個つながった、比較的短い鎖状の物質が産生されると考えられています。こうしたペプチドのなかにはさまざまな生理的な活性と機能があるものが発見されており、食品メーカーや乳業メーカーがカルシウム吸収促進、骨の代謝促進、血圧降下、認知機能向上、睡眠の改善など、さまざまな機能を謳った製品化にしのぎを削っているとお伝えしました。
しかし、一方でカゼインというタンパク質に対しては、誤った知識が流布され、一部の消費者からは健康に悪影響を及ぼす可能性のある、避けるべき食材というレッテルを貼られているのも事実です。最大の原因は、食物アレルギーの問題で、カゼインに限らず卵や魚介類、小麦や豆類など、タンパク質を成分に持つ食品は多かれ少なかれアレルギーの原因になっていますので、カゼインだけが悪者になるというのは、少し偏った見解ということになります。ミルクにアレルギーを持つ方は、当然摂取を控えるべきであることは、当人がいちばん気をつけておられると考えますし、ミルクアレルギーでない大多数の人から大切なタンパク質の補給源を奪う理由にはならないと考えます。
二つ目にカゼインが敵視される理由として、消化に時間がかかるという点が挙げられます。カゼインは水に溶けにくいタンパク質であるため、消化酵素による分解にやや時間がかかり、時として便秘や下痢と言った不快な症状を招くケースもあります。こうしたケースは欧米人ではあまり見られないと言われており、食文化の違いが反映している可能性もあり、究極には腸内細菌の構成に差があると考えられています。つまりカゼインなどのタンパク質の消化分解には、私たちのもつ消化酵素に加えて、腸内細菌いわゆる善玉菌の助けがあるとよりスムーズに進むと言われています。さらに消化に時間がかかることは、分解の途中でさまざまな機能性ペプチドを産生する背景にもなっており、また腹持ちが良いという観点から、ダイエット食に利用できるという利点もあります。大切なのは、負の側面だけを捉えて判断するのではなく、多角的に事象をとらえる目を持ち、いかに有効に活用するかという知恵が必要なのだと思います。
そしてもう一つは乳糖不耐症の問題です。これは完全なる誤解ですが、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする、下痢の症状を起こす人が特に日本人やアジアの人々には欧米人に比べて多いと言われています。その原因は、その名のとおり乳糖でありカゼインではありません。しかしながら、牛乳の成分であることは間違いなく、これが牛乳嫌いの原因となり、ミルクに対するアレルギー感情になっていると考えられます。しかし、この乳糖不耐症は、その名のとおりミルクに含まれる炭水化物である乳糖が原因で、カゼインとは無関係です。そしてアレルギーというのも正式にはアレルギー反応ではなく、消化酵素が不足して起こる消化不良の状態です。アレルギーは、その原因となるアレルゲン物質に対して、免疫システムが外敵と誤認して、攻撃と防御反応(炎症など)が起こる現象です。多くの場合アレルゲン物質はタンパク質であり、炭水化物である乳糖はアレルゲン物質ではありません。つまり単なる消化不良にアレルギーという用語が使われているため、その原因が牛乳のタンパク質であるカゼインに掛けられた濡れ衣なのだと言えます。乳糖不耐症も、消化酵素の問題ですから、腸内細菌の助けがあれば緩和したり、改善することが可能といわれています。牛乳や乳製品を食事で摂り続けることで、腸内細菌特に善玉菌の力がつよくなり、乳糖の分解もお手伝いしてくれるようになれば、こちらも解決することが期待できます。
その他、カゼインの悪者説はまだまだあるようですが、いずれも決定的な証拠となる科学的根拠は希薄であり、ある側面だけをとらえて過大に喧伝しているレベルであると思われます。人間を含めたほ乳類が、その誕生から成長期を通じてまさに命を育むための母からの恵みともいえるミルクは、私たちの健康にとってかけがえののない存在であり、健康に不都合は要素は存在しえないはずです。もし不都合があるとすれば、それはミルクが原因ではなく、摂取する私たちの側に何かしらの理由があり、それを解決することをまず考えるべきと思います。
今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。
よろしくお願いします。詳細を表示

コメント