NO.294 12月17日【水】=ウイルスって生物?②=

おはようございます。
昨日からの続きです。ウイルスは、生物の条件である細胞の形も取らず、また自立して代謝も複製もできないにもかかわらず、私たち人間や動物の細胞に依存する形で存在し、そして他者の細胞のしくみを利用して、複製し増殖するという生命活動の根源的な要素を備えています。生物とは言えないけれど、生命体として活動していると言わざるをえない存在です。

このウイルスという存在は、地球上においてすべての生物の個体数をはるかにしのぐ数で存在しており、数的には地球上の最大勢力を占める生命体であると言えます。そして私たち人間を含む多様な生物がこの世界に存在し得るのは、太古からの何十億年におよぶウイルスとの共生関係があったからであると、東京理科大学教授の武村政春先生は述べておられます。先生の著書「DNAとはなんだろう」(講談社)には、遺伝子の本体とも言われるDNAやRNA(核酸)とウイルスの関係について興味深く解説されていますので、一部抜粋してご紹介したいと思います。

私たち人間がDNAについて考えるとき、往々にして「DNAは生物のもの」という前提で話が進む場合が多いといいます。しかし、じつは「DNAといえば、ウイルスをまず真っ先に思い浮かべるべき」というくらい、生物よりもむしろウイルスにこそ、その本質を見ることができると武村先生はいいます。しかしながら、ウイルスには、インフルエンザや新型コロナなど、その言葉自体に毒であるというレッテルが貼られているために、悪者というイメージがついてまわりますが、本質的にはウイルスも、私たち生物と同じDNA(もしくはRNA)という遺伝子を持つ存在であり、その起源はすべての生物より、ウイルスの方が先に地球上に誕生したという説もあると言います。つまり最初の生命体はウイルスであって、私たちのような細胞を持つ生物はウイルスから進化したと考えられているのです。

ウイルスはその単純な構造から、どの生物よりも自身の遺伝子を複製する機会が圧倒的に多く、突然変異もたくさん生じます。進化が試行錯誤の繰り返しとすれば、ウイルスは生物に比べて、よりたくさんの試行錯誤をしながら新しいものをつくり出す機会に恵まれており、結果としてウイルスが自己複製のしくみである遺伝子DNAをつくることができた可能性があると言います。ウイルスのほうが「変わる」、すなわち何らかのイノベーションを起こすことができる能力に長けていたと考えれば、遺伝子DNAを開発することに成功したのは生物ではなく、ウイルスであったというほうが考えやすいのです。

インフルエンザや新型コロナの変異株が毎シーズンのように現れるのは、複製の機会が圧倒的に多いことで、確率として変化が起こりやすいという仕組みに由来していると言えます。さらに言えば遺伝子DNAが生命の本体だと考えれば、ウイルスはその本体とそれを覆うタンパク質の殻だけという、最も原始的な構造であり、そこから変異と変化を繰り返すうちに、その本体である遺伝子をより安全に安定して保持し、保存するために、細胞という器ができ、生物に進化していったと考えられるのではないでしょうか。そして安全安定と引き換えに、変化を生む突然変異の機会が減ることで、何十億年という時間の流れの中で、生物の種は安定してその子孫に受け継がれるようになったのだとも考えます。

私たち人間を含めた多くの生物は、地球の歴史の中で、遺伝子DNAを介してその命を受け継いできたわけですが、しかしその生物のさらにさかのぼる起源に、じつはウイルスが存在していたとすれば、インフルエンザや新型コロナに対しても、少し違った角度から見ることができる気がします。

今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。
よろしくお願いします。

コメント

  1. ピンピンキラリ塩谷勇人 より:

    人間より先にウイルスがいるからこそ、共存していかなくてはならないものを、敵とみなし攻撃して来たから、今反撃に遭っていると思わざるを得ません。人間と一緒に生きていくのに、人間が死んでしまえは、ウイルスにとっては意味のないことになるので、早く人間もそのことを学んで、これからのウイルスとの共存をどうしたら良いかを考えていう必要に追い込まれていると思います。共存するために人間はサステナを頼りにすることを考えてほしいです。