おはようございます。
先日行われた米中首脳会議での、最大の争点であったレアアース問題ですが、結果は中国側がレアアースの禁輸措置を1年間猶予することになりました。トランプ大統領のディールが習近平主席から大きな譲歩を引き出したとも言えます。トランプ関税の再発動、先端半導体の輸出停止、そして中国金融機関のドル決済制限と矢継ぎ早にカードを切り、中国側を追い詰める形で、習主席はレアアースの輸出停止という最後の切り札を引っ込めざるを得なくなったとも見えます。レアアースを巡っては、日本も2010年に尖閣諸島問題を巡って輸出を一時止められたことがあり、中国は外交カードの切札としてレアアースを利用してきた過去があります。
では、外交政策の切り札になるレアアースとは、いったいどのような資源なのでしょうか。一言でレアアースといっても、それは17種類の希土類と呼ばれる元素の総称で、同様の言葉としてレアメタルという非鉄金属を総称する言葉がありますが、レアアースは、そのレアメタルの1部という分類になっています。いずれも、地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属と定義されており、特にレアアースは近年脱炭素化や技術革新を支える重要な資源としてその需要が急増し注目されています。代表的なものとしては、電気自動車のモーターなどに使われる高性能で強力な磁石に欠かせない、ネオジム、ジスプロシウム、サマリウムや、高性能な光学レンズや半導体製造に必要な、セリウム、ランタン、イットリウム、そしてレーザー機器や光学センサーに使用されるユウロピウムやテルビウム、そして高性能蓄電池にもこうしたレアアースが多用されていると言います。
パソコン、スマホ、テレビ、自動車とハイテク製品が私たちの生活の中でどんどん増えてゆくなか、レアアースの需要はまだまだ伸びてゆくと考えられますが、供給は非常に限られており、中国が約6割を握っているというのが現状です。まさに中国がレアアースの供給を介して、世界のハイテク産業の生命線を握っていると言っても過言ではない状況です。もちろん中国以外にも、レアアースを生産できる国は存在しており、現状ではアメリカ、オーストラリア、インドなどがありますが、鉱石を算出していてもその精製には、大量の薬剤が必要で危険な化学薬品も多いため環境負荷が大きいと言います。その点で中国は、まだ規制が厳しくなくコストを抑えて生産できるメリットが大きいため、優位性があると言われています。
日本も、現状はほぼ中国などからの輸入に依存していますが、アメリカやオーストラリアなどと協力しながら、調達ルートの多角化を進めており、また最近では南鳥島沖の海底にレアアースを含む泥層が発見され、政府主導で採掘を目指すと発表されています。日本は、こうしたレアアースのみならずレアメタルなどの稀少資源については、これまで分離精製技術を軸にリサイクル活用する実績を積み重ねてきており、使用済み機器や廃棄製品からの回収によって、レアアースを再利用する道も期待されています。レアアース問題は、日本にとっても政治的な環境に左右されない、独自の戦略が必要な資源であり、特に家電製品や自動車などハイテク産業が経済の大きな部分を支えている日本にとっては、まさに生命線とも言える重要な資源の一つなのです。リユース、リサイクルは今日から私たちにもできることだと思います。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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