昨日からの続きです。東京女子医科大学の大塚邦明教授の著書「時間治療 病気になりやすい時間、病気を治しやすい時間」(講談社)の内容を一部抜粋、再構成しています。
1日の食事の回数については、1日3食がおすすめという結論になりましたが、ではその時間、タイミングについてはどうでしょうか。食事をとらない時間を設ける断食は、仕方によって良い効果を生むことがあるということでした。プチ断食とは、朝食開始から夕食終了までの時間を短くする「食事時間帯の制限」のことです。たとえば、食事をする時間帯を6時間として、残りの18時間を絶食すれば、18時間のプチ断食ということになります。このようなプチ断食によって、肥満や高血圧の改善に効果があることに注目が集まっています。
体重100kg前後の肥満の人に、食事時間を朝食開始から10時間に限定する14時間のプチ断食を3ヵ月続けてもらいました。すると、体重と腹囲が減り、高血圧が改善し、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)も低下しました。このような現象が起こる理由は、体内時計が「24時間のうちで食べてよい時間」を決めているからです。
さて、プチ断食を実践する際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、「朝」を主体としたプチ断食にすることです。特に、起床後1時間以内の朝食が有効であるとされています。朝食には、睡眠中に低下していた体温を上昇させ、脳や体を目覚めさせるはたらきがあり、これを「ブレックファスト効果」といいます。乱れた体内時計の修復とパワーアップに欠かせない効果です。反対に、朝食をとらずにいると太りやすく、習慣的に夜食をとっていると肥満につながります。「朝」を主体としたプチ断食にするのは、このブレックファスト効果が高くなるからです。
朝食の時間が決まれば、「食事時間帯」が決まってきます。仮に朝食を7時30分にとるとすれば、食事をしてよい時間は17時30分まで、ということになります。朝を主体としたプチ断食に比べ、朝食をとらずに、昼食から夜食を主体としたプチ断食をした場合には、肥満や高血圧の改善効果はみられません。プチ断食の観点からも、朝食は絶対に必要なのです。
また、プチ断食の時間を18時間よりも長くすると逆効果です。細胞が細胞内にたまった不要なたんぱく質を分解するしくみを「オートファジー(自食作用)」といいますが、その作用が活発になりすぎて筋肉量が減ってしまったり、また脂肪肝になってしまったりするリスクが生じてきます。オートファジーは本来、筋肉や脂肪を適切に分解して細胞の健康を維持するためのしくみですが、絶食でそのはたらきが活発になりすぎると、かえって健康を害することにつながりかねないのです。プチ断食の効果は、16時間、15時間、14時間、13時間のプチ断食でほぼ同じです。
早稲田大学の柴田重信教授の研究では、8時から20時までを食事時間帯とする12時間のプチ断食でも、体重や腹囲、高血圧、LDLコレステロールなどの改善効果が十分に得られることを確認しています。その結果をふまえれば、まずは「朝に光を十分浴びる」ことと、「朝を主体とした12時間のプチ断食をおこなう」ことから始めてみるのはいかがでしょうか。毎朝8時に朝食、夕食は20時までということですから、比較的簡単に実行可能だと考えられます。仕事上の会食などがある日は、例外としてかまいません。12時間の断食に慣れてきて、さらに大きな効果を求めたいと思うようになったら、14時間、15時間のプチ断食へと進めていけば良いでしょう。まずは無理のないところから試してみてください。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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