NO.237 8月21日【木】=寝たきりにならない健康習慣=

おはようございます。
昨日は、健康寿命を延ばすために必要な運動についてお話ししました。1日6,000歩、約40分程度の歩行が、健康維持のために必要な運動量の目安であると厚生労働省のガイドラインに示されています。歩行以外にジョギングやジムでの機器を使ったトレーニングも有効で、その場合には運動の強度と時間をかけ合わせて運動量を測る方法が提案されています。例えば、ジョギングや水泳などの運動は強度が歩行の約2倍とされていますので、歩行に比べて半分の時間で同じ運動量になる計算です。つまりジョギングであれば20分程度でOKということになります。さまざまな運動メニュー、生活活動の運動強度を知っておけば、時間のないときには強度が上がるメニューを選択するなど、飽きることなく継続することができると思います。この運動ガイドラインは厚労省のHPなどでも閲覧が可能ですので、一度チェックしておくとよいと思います。

さて本日の話題は、寝たきりにならないための健康習慣です。平均寿命が延びても、健康寿命が追い付いていないのが超高齢社会となった日本の大きな社会問題です。健康寿命と平均寿命の間には、男女平均で10年以上の差があります。この10年を、不健康寿命と呼ぶ学者もいます。健康寿命が終わった後も私たちは10年以上生き続けることになりますが、健康寿命が終わるということは自立した生活ができない状況、つまり誰かの世話になりながら生きていく期間ということです。要介護、要支援という状態であり、究極は自宅のあるいは施設のベッドで寝た切りということもあり得ます。これが多くの高齢者、いずれ高齢者になるすべての人々が、将来に対して抱える最大の不安であると思います。

健康寿命が尽きても、いきなり寝たきりになるわけではなく、そこには兆候と段階があります。私たちのからだには、病気やケガをして一時的に体力が低下しても、そこから回復する能力が備わっています。しかし、高齢になると、その能力が著しく低下してしまいます。この加齢にともなう身体諸機能の低下は、とくに、75歳以上の後期高齢者で顕著になり、外的なストレス(逆境)に弱くなり、感染症の罹患や事故の発生頻度が高くなるとともに、そこからの回復力も低下します。

また、消化器系、循環器系、そして運動器系を問わず、手術後の回復が遅れたり、十分に回復しなかったりして、要介護状態に陥るリスクが高くなります。このような高齢者に特徴的にみられる脆弱性が高まった状態を「フレイル(虚弱)」と呼びます。「フレイル」は、日本老年医学会が平成26(2014)年に”Frailty”の日本語訳として、新たに提唱した疾患概念です。身体的な面でのフレイルの原因としては、骨・関節・筋肉などの運動器の衰えがあげられています。そして、高齢者に多い慢性疾患や多剤併用などがこれらを加速させ、身体活動量の低下や食欲減退から、低栄養、筋量・筋力の低下を起こす悪循環(フレイル・サイクル)が起きやすいとされています。

一方、心理的な原因としては、加齢に伴う認知機能の低下や抑うつ気分などがあげられ、家事や買い物などさまざまな場面で適切な行動・判断ができにくくなることが問題となります。また、社会性の面での原因としては、孤立しがちになることで、引きこもりや孤食(ひとりで食事をすること)が常態化しがちです。フレイルの特徴は、このような3つの原因が重なることで、状態がどんどん悪化していくことです。たとえば、身体機能の衰えによって外出が億劫になることで引きこもりがちの生活になり、それが社会性の低下を引き起こします。また、引きこもりがちな生活が続くことで、さらに身体機能や認知機能が低下することにもつながり、心身の機能がどんどん衰えていくという「負のスパイラル」に陥るのです。

寝たきりの入り口ともいえるこのフレイルを、ではどうすれば防げるのか、どのような生活習慣がフレイル予防に役立つのか、運動だけでなく食事の面も含めてもう少し検証してみたいと思います。続きはまた明日。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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