NO.220 7月11日【金】=野本教授と免疫ミルク②=

おはようございます。
野本教授は、国民の健康維持増進に役立つとして、数多の健康食品やサプリメントを調査研究してこられたと言いますが、今でも先生は免疫ミルクをして「これしかない。これ以上のものは出てこない。」と評価して頂いています。その意味するところとは何でしょうか。なぜ、そこまで言い切れるのか、改めて考えてみたいと思います。

野本教授の日本の医療業界における功績は、すでに述べたとおりであり、この半世紀の医学・医療の発展に最も貢献された医学者の一人であることは、疑う余地はありません。しかし先生は、これまで述べてきたように単なる医学者という領域を超えて、真に国民の健康と幸福のために尽力された方でした。そして免疫ミルクに大きな可能性を見出し期待も頂いてました。それが医薬品と食品の中間に位置する新しいカテゴリーでした。具体的には、食品の安全性と医薬品の有効性を併せ持つもの、それは予防医療が人々の健康を守る社会、病気を未然に防ぎ、病気のない未来には必要不可欠であると考えておられたのです。

生体防御論を人間の個体レベルではなく、社会というレベルで考えた場合、これまでの医療システムは、医師や病院という専門家を配した医療機関が行うという原則があります。それは個体レベルでは、病原体がカラダの内部まで侵入して感染症を起こし、免疫細胞であるT細胞やB細胞が発動しているレベルなのです。そこに至るまでには、まず皮膚や粘膜において物理的に外敵の侵入を防ぐバリアーがあります。そしてそのバリアーの周辺には常に好中球やマクロファージと言った哨戒部隊がパトロールして、連続的に外敵の侵入を防ぐ仕組みが生体防御のシステムなのです。つまり社会においても、医療機関に行く前に、病気を未然に防ぐ連続的なバリアーを構築することが必要であると、野本教授は説いていたのです。そしてその一つの手段として、食品のように誰もが安全に利用できて、しかも保健効果が医薬品のように科学的根拠をもって証明されているものを想定されていたのです。

その具体的な要件として、安全性、有効性、そして経済性を挙げていました。専門知識が無くても、誰もが安全に利用できること。多少間違った使い方をしても副作用などを心配する必要がない高い安全性です。さらに科学的根拠がはっきりしており、いつ誰が使用しても期待する効果が得られるレベルの有効性です。そしてもう一つ大切な要件として、医療保険や介護保険と言った公的負担を前提としないこと、すべての国民が日常的に利用できるレベルの経済性が必要と先生は考えたのです。そしてのその答えが、免疫ミルクであり、あらゆる健康食品やサプリメントを調査研究した結果、これしかないというのが野本教授の結論なのです。

野本教授が考えた、医薬品でもない食品でもないこの第三のカテゴリーは、実は現在の特定保健用食品いわゆる「トクホ」の出発点のコンセプトだったのです。トクホが保健機能食品の目玉としてスタートするのは1991年のことですが、法案の検討段階では免疫ミルクもその第一号の有力候補に挙がっていました。ところが関わった人間以外あまり知らていないことですが、トクホの法制化にはさまざまな業界と、さらに縦割りと言われる行政の内部でも綱引きや駆け引きがありました。この続きは、また来週お話を続けたいと思います。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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