おはようございます。
特定保健用食品、通称トクホと呼ばれる一連の食品や、2015年にスタートした機能性表示食品など、昨今の食品市場にはこうした健康機能を表示した食品がずいぶん増えてきました。政府がすすめる健康寿命の延伸政策と相まって、消費者が自らの判断において、健康の維持増進に役立つ食品を積極的に摂取して、いわゆる生活習慣病などを未然に予防するための良い食習慣を身につけようという流れであります。1990年代後半のトクホ制度の導入時には、製薬業界と食品業界を代表する企業が、その監督官庁である厚生労働省のみならず、農水省は経産省なもも巻き込んで、激しい政治的綱引きにも発展しましたが、世界的に先駆けて食品の保健的効能を認める制度として注目を集めました。
トクホのスタートに当たっては、私たちの免疫ミルクもその候補にあげられた時期もありましたが、結果的にトクホがスタートしたのは、主にお腹の調子を整えると言った、現在でいうプロバイオティクス製品、具体的には乳酸菌飲料やヨーグルトなどの製品が相次いで許可され、市場に登場しました。その規模はスタート時から数千億円の市場と騒がれましたが、結果的にはもともとあったプロバイオティクスや食物繊維製品の市場に、ただ国が認めたトクホのマークがついたというのが実態で、新しい市場がそこから生まれたというには少し期待外れであったかも知れません。私たちの免疫ミルクはその候補に挙がりながらなぜ途中で離脱したのか、あるいはしなければならなかったかというのは、以前お話したことがあるかも知れませんが、最終的には当時ご指導を頂いていた野本亀久雄名誉教授の判断がありました。
野本先生は、実はトクホには大きな期待を寄せていた有識者のおひとりでした。まさに現在の超高齢社会を見越して、当時から予防医療の大切さを国や政府に訴えてきた存在でありました。医療の進歩によって多くの病気に対して有効な治療法や医薬品が開発されたとしても、病気は無くなることはなく、高齢化が進めば病人は増える一方で、しかもそのコストは級数的に増加してゆくこと、その結果として国民医療費が増大し社会保障制度の破綻を必ず招くことを予見されていたのです。その事態を回避すべく、予防医療を進めることの大切さ、病気になる前に病気にならない体づくりを進めて行くことが、絶対的に必要であることを国民や政府に対して繰り返し説いてきた数少ない学者の一人でした。その一つの解決策として期待されたトクホ制度には、野本先生も大いに期待を寄せておられましたが、結果として政治家や行政内部での駆け引きの中で、野本先生が期待されたトクホ制度は、完全に骨抜きにされてしまいます。そして先生は私たち免疫ミルクのグループに対して、トクホの検討を断念する旨指示をされたのです。
何が当初の主旨であったトクホと乖離してしまったのか、本来目指すべきところからどうして外れてしまったのか、当時の野本先生のご指導内容も含め、明日もう少し詳しくお話したいと思います。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。


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