NO.158 3月13日【木】=朝令暮改のすすめ=

おはようございます。

今月初め、衆議院の予算委員会で新年度予算が修正されが決議されました。国会で野党との協議において予算が修正されるというのは、29年ぶりとなる異例の出来事として報じられました。少数与党となった自民・公明は維新の合意を取り付けるために、高校無償化関係費などを盛り込む形で修正が行われたのです。衆議院にて修正された新年度予算案は、現在参議院にて審議中ですが、与党が過半数をもつ参議院においても、高額医療費の見直しなどについて与党内からも反発が上がるなど、協議が難航している状況です。これで参議院でもさらに修正が行われれば、前代未聞の珍事となるかも知れません。少数与党という厳しい状況に置かれた石破政権の、まさに生き残りをかけた戦略なのでしょうが、野党やマスコミにはコロコロ変わるその態度を、朝令暮改と揶揄する意見が多いようです。

しかし、朝令暮改は悪いことなのでしょうか。中国の故事に由来する朝令暮改とは、朝に法律を出し、暮れ、つまり夕方には法律を改める、という意味です。そこから転じて命令や方針が頻繁に変わっていくことを指します。「令」という言葉が意味する法律は、多くの人が従い、影響を受けるものであるだけに、明確な理由がない限りは変わらないものです。本来、変わってはならないのに、法律を出す側の都合で簡単に変わってしまう、変わってしまうことで、多くの人が被害を受ける、というニュアンスが、この言葉には込められています。

ところが、世の中が急速に変化していく時代となった今、変わっていくことを肯定的に捉える傾向もあります。変化の激しい現代において、世界や時代の潮流に乗るためには、そしてそのトレンドを自ら創造してゆくためには、かつてないスピード感を持って動き続けることも必要となります。それは朝令暮改、いや朝令昼改ぐらいの勢いが求められるケースもあるかも知れません。朝令暮改という言葉が元来持つ否定的なニュアンスを避けたいなら、臨機応変と言い換えても良いかもしれません。

変化することに躊躇せず、積極的に変化を続けることは、いまの世界を乗り切るとても重要な姿勢であると思います。ダーウィンの唱えた進化論は、何億年という長い時間のなかで、私たち生物が生き残りをかけて変化し、繁栄を続けてきたメカニズムを解き明かしましたが、その進化の原点が変化なのです。すべての進化は突然変異という偶然に起きた変化が繰り返されることで、変化の方向性はランダムだったのです。そして環境に適応できた変化だけが淘汰され、生存することで進化につながったということです。

つまり変化の積み重ねが結果として進化につながるのだから、結果を怖れて変化を避けていたのでは、進化できないどころか、退化を招いてしまうことになるとダーウィンは教えています。結果を怖れず、勇気をもって変化を続けること、その時点ではそれが良い結果を生むかどうかはわからなくても、変化を続けて行けばいずれ進化につながると信じて行動することが大切なのかも知れません。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるとも言います。それくらいの図太さが求められている時代なのではないでしょうか。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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