おはようございます。
人生100年時代と言われ、いまや100歳越えのお年寄りが10万人を超えたと言います。過去5年間で3万人以上増えていることになり、その勢いは止まっていません。高齢者の健康状態が改善していることは喜ばしいことであり、私たちのサステナが目指す未来がまさに現実のものとなりつつあることは、とてもうれしいことです。しかし寿命がただ延びればよいということではなく、大切なのは健康寿命です。健康寿命についても、国をあげて取り組んでいることで、平均寿命同様に伸びていますが、なかなかその差が縮まっていないのが現実です。その差は男性で約9年、女性で約12年あり、過去10年ほとんど変わっていません。
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と定義されていますから、他者の介護や援助がなくても、一人で独立して生きて行けることと理解してよいと思います。そしてこの健康寿命の継続を妨げる要因として、さまざまな身体の障害や慢性的な疾患がありますが、多くの人々にとって一番の不安はやはり認知症ではないかと思います。生活習慣病や命にかかわるガンなどの重病も大きな不安要素ですが、まだ自分で治療の判断ができる分、納得も行く部分があるのではと考えます。しかし、認知症は症状が進めば記憶も自身の判断力も失い、まさに人としての尊厳すら失われてゆきます。これは死よりつらいことかも知れません。
健康寿命をさらに伸ばすには、やはり認知症対策が今後ますます重要な課題になっていくと思われますが、他の疾病に比べて認知症の分野はまだまだ医学的にも解明できない部分が多く、治療法や治療薬の開発が遅れているのが実情です。脳の仕組みや神経の働きは、私たちの身体の他の臓器や器官とは大きく異なる部分が多く、特に脳科学と呼ばれる分野は人間と他の動物では発達の度合いに大きな差がある分、動物実験などではその研究や探索に限界があるのかも知れません。高度に発達し他の動物には見られない人間特有の行動や思考を司る脳が、認知症を発症する舞台であり、その研究はまだまだこれからと言えます。
前置きが長くなりましたが、その認知症対策として、どんな薬よりも有効な特効薬が「睡眠」であるという研究結果が話題となっています。米国ロチェスター大学医療センター教授のマイケン・ネダーガード氏らの研究グループは、2013年に脳のゴミ処理システムを発見したとして一躍有名になった研究者たちです。彼らの研究論文によれば、私たちの脳は睡眠中にその脳内をある液体が流れることで、脳細胞からでる老廃物や毒素を洗い流して掃除していることを見つけたのです。私たちの身体には血管とともにくまなくリンパ管がはりめぐらされており、通常はリンパ管を流れるリンパ液が細胞の老廃物の掃除をしていますが、脳にはリンパ管が通っておらず、どのようにお掃除がなされているかが長年の謎でした。これをネダーガード氏らが解明したのです。睡眠中に脳を掃除してくれる仕組みについて、続きは明日お話しましょう。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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