NO.146 2月19日【水】=オートファジーダイエット=

おはようございます。

2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞された東工大栄誉教授の大隅良典氏によって、オートファジーという言葉が一躍有名になりましたが、昨今はオートファジーダイエットなる新たなダイエット手法としても注目されているようです。ではこのオートファジーとはいったいどのような仕組みなのでしょうか。実は免疫や多くの疾病にも関わる非常に重要な私たちの体の恒常性維持機能の一つですので、今日は少し深堀りしてみたいと思います。

まずオートファジーとは、自食作用と和訳されていますが、細胞内を正常な状態に保つために、細胞内で不要となった物質を分解する、いわばリサイクル業者のようなはたらきをしています。分解された老廃物はリサイクルされ、生きるためのエネルギーとなります。まさに細胞内のお掃除係であり、老廃物を分解除去するだけでなく、これを再生利用するところまでを担ってくれている非常に頼もしい存在と言えます。そしてオートファジーによって、老化や疾病の抑制につながっていることがさまざまな研究によって明らかになりつつあるのです。自然免疫系の食作用と仕組みは似ていますが、食作用は、外部からの侵入者や異物を包み込んで分解、無害化するのに対し、オートファジーは、あくまで細胞内の不要物、老廃物を分解・再利用する仕組みであるという点が違いとしてあげられます。

この老化防止につながるオートファジーの機能を活性化する研究が現在も盛んに行われていますが、これまでにわかっている活性化要因として、(1)カロリー制限、(2)インスリンシグナルの抑制、(3)生殖細胞の除去、(4)細胞のエネルギーを作るミトコンドリアの抑制などがあります。その詳細な因果関係は解明されていませんが、いずれもオートファジーが盛んになるという現象が共通して確認されています。特に(1)の理由により、オートファジーダイエットなる手法が注目されているのだろうと考えられます。カロリーを制限し、糖質の摂取を抑えれば、まさにダイエット効果が期待できる状況が生まれますし、それでオートファジーが盛んになれば、さらに体内の老廃物の代謝が促進され、再利用が進むことで、老化防止にもつながるという理論です。

ではどのくらいカロリー制限すればオートファジーが活性化されるのかですが、「空腹こそ最強のクスリ」(アスコム出版)という著書で一躍有名になったさいたま糖尿病クリニックの青木院長によれば、16時間断食がオートファジーを活性化するのに大変有効であると言います。睡眠時間を含めて16時間の空腹時間を作るのがルールで、1日3食をやめ、2食または1食にすれば無理なく実践できると言います。ただし、オートファジーによって体重が減る・脂肪が燃焼すると言った直接的な効果はないことは理解しておかねばなりません。

じゃあ、オートファジーダイエットって何が良いの?といえば、3つのメリットが挙げられると言います。(1)アンチエイジングとダイエットを両立できる(2)断食で摂取カロリーを無理なく減らしやすい(3)体調によい変化を実感しやすく継続のモチベーションが生まれる、ということです。つまりダイエットといっても、痩せることが目的というより本来的なダイエットの意味するところの健康法と考えるべきなのです。そして付け加えれば、オートファジーが活性化することで、筋肉が落ちやすいというデメリットも存在します。したがって、筋力維持のための運動を欠かさないことも必要になります。こうした点をきちんと理解したうえで、オートファジーダイエットを取り入れることは免疫力向上にもつながる有効な健康法と言えるかも知れません。

今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。

よろしくお願いします。

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