NO.145 2月18日【火】=令和のコメ騒動=

おはようございます。

先週、政府がようやく重い腰を上げました。お米の高騰がおさまらない状況に対して、備蓄米21万トンを放出することを発表しました。昨年の夏からお米の価格が急激に上がり続け、一時はスーパーや食料品店の棚からお米がまったく消えてしまう時期もありました。その後、6年度の新米が流通する昨年9月頃からは、なんとか日々食べる分の供給は再開していますが、それでも価格の高騰は収まらず、現在は5㎏袋の平均価格が4千円台を突破するところまで来ています。1年前には2千円台だったものが、6割から7割も高騰していることになります。農水省の統計によれば、昨年のお米の収穫量は679万トンと6年ぶりに増産となっているそうですが、それでも市場で足りない状況が続いているのは、一部の投機筋が買い占めている、もしくは出し惜しみしているという観測も出ています。

一昨年に比べれば農家では18万トンの増産ができているのに、いわゆる農協などの集荷業者が買い付けた量は前年比で21万トン減っているといいます。その差である39万トンはいったいどこへ消えたのか、さまざまな観測、憶測がなされていますが、政府は流通段階で目詰まりを起こしているとして、今回その解消に向けて備蓄米21万トンを放出することを決定したといいます。3月入札によりまず15万トンが集荷業者に受け渡され、3月後半には一般市場にもいきわたるはずとみています。状況を見ながらさらに6万トンを放出し、市場価格の安定化を期待しているようです。

しかし、流通の目詰まりと政府は指摘しますが、果たして39万トンものお米をいったいどこに隠せるのでしょうか。本当に流通段階で滞留しているのでしょうか。コロナ禍が明けて外食が活気を取り戻し、インバウンドの急増により需要は大きく伸びています。その影響もあり昨年の夏、急激に米が不足する事態を招いたと言います。その後は早生米などを使って流通を前倒ししたりで、結果的に6年度の新米を1~2か月先食いすることになったことで、新米シーズンになっても、結果的には流通在庫が回復せずに、現在の事態が続いていると一部の専門家は分析しています。

今回のコメ騒動、流通制度に問題が矮小化されているように思いますが、問題の本質は政府がすすめてきた減反政策に溯るのではと考えています。2018年には減反政策は廃止されましたが、その後も農協や生産者によってお米の価格安定を目的に自主的な生産調整が続けられていると言います。日本人にとってお米は大切な主食であり、日本のお米は味も品質も大変に優秀で、世界に誇れる和食の原点とも言われています。しかしそれほどに優秀な農産品であるなら、もっと増産して国内市場でなく、世界の市場で勝負すべきなのではとも思います。国民一人当たりのお米の消費量を比較すると、日本は世界で50位です。トップ10にも程遠い位置です。人口減少に和食離れと言いますが、世界ではお米はまだまだ成長産業です。タイやベトナムの人々は日本人の3倍もお米を食べています。中国、韓国、インド、台湾、いずれも日本人よりお米をたくさん食べています。

日本のお米が、味も品質も優れているなら十分に世界市場で競争が可能なのではないでしょうか。新たな輸出産業として、外貨を獲得する道も拓けるはずです。戦略としては、政府が支援してでも増産体制をつくり、規模を拡大することでコストを落としながら、日本ブランドのお米をもっと世界に売り込むチャンスが、円安によって到来しているのではと思います。日本のモノづくり技術は、工業製品に限らず、農産品においても世界に誇れるレベルのものがあるはずなのですから。

今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。

よろしくお願いします。

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