NO.139 2月5日【水】=タリフマン(関税男)=

おはようございます。

米国のトランプ大統領の一挙手一投足に世界が振り回されています。自らタリフマン(関税男)と名乗り、米国への輸入関税を引き上げることで、自国の産業や製品を保護しようとするトランプ氏の保護貿易主義ともとれる政策に、周辺国はもとより世界中の経済環境に大きな影響を及ぼしています。

2月4日から実施するとした、メキシコ、カナダ、中国からの輸入品に対する関税の引き上げは、メキシコ、カナダが25%、中国には追加の10%と発表されていましたが、直前になってメキシコ、カナダに対しては1カ月の実施延期となりました。一方中国に対しては10%の追加関税が発動している状況です。これに対し、中国はすぐさま報復措置として、米国からの輸入の一部品目に対し10%~15%の追加関税を10日から実施すると発表し、関税による貿易戦争の様相を呈し始めました。

カナダとメキシコは、米国にとっては隣国であり食料品や日用品などをはじめ、日本や欧州の自動車や電化製品と言った工業製品の生産拠点にもなっており、25%関税の影響は、世界中のサプライチェーンに影響を及ぼすとして、さまざまな業界がその対応を迫られていましたが、今回1カ月の先延ばしとなったことで、少し時間ができたというところでしょうか。しかし本当に25%関税が実施されれば、トランプ氏の主張する国内産業を守り、さらに近隣国からの麻薬などの流入を減らすという以前に、食料品などのさらなる高騰で、インフレが進み市民生活に大きなダメージを及ぼすことは明らかでした。そしてその懸念が先行する形で、米国株式市場や為替市場は、週明けから大きく下落する局面を見せました。

カナダ、メキシコとは1カ月の延期がが示されたものの、直前に行われた首脳同士の交渉では、国境警備体制の強化などについて合意したといいますが、これは過去からの合意事項の一部修正程度に過ぎず、米国としてこのディールによって大きな成果を得たとは考えにくい状況です。となれば、今回の25%関税策はいわゆるディール(取引)におけるブラフ(はったり)であり、元より実行する気はなかったのかも知れません。輸入関税の引き上げは、消費者物価の上昇をまねき、国民生活にとっては大きな負担を強いることになります。また一時的に国内産業を保護できても、結果として競争力を失うことに繋がり、やはり長期的な観点で見れば、国力の低下につながります。トランプ大統領の掲げる「MAGA:アメリカを再び偉大にする」とは逆行するのではとも思われます。

まずはブラフによって相手を動揺させ、翻弄することで交渉における有利な立場を確保し、最終的には相手から好条件や譲歩を引き出すという、まさに駆け引きを好むトランプ流のディールなのでしょうが、いったいどこまでこの手法が通用するのか、これに対して世界はどのように対処してゆくのか、非常に大きな不安を覚えます。トランプ政権に対して、世界が当面注視することになりそうです。

今日もサステナ飲んで頑張りましょう。

よろしくお願いします。

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