NO.127 1月15日【水】=花粉症が増えたワケ②=

おはようございます。

先週からの続きです。いまや日本人の4割を苦しめる花粉症が、1970年代から急増したその原因を検証します。当時、日本は高度成長期を迎え、生活様式も環境も大きく変化しました。こうした変化が私たちの健康にも大きな影響を与えたことは容易に想像がつきます。そしてその中でも東大名誉教授の小柳津広志先生は、抗生物質の乱用こそが、最も大きな原因であると指摘しています。では、抗生物質の乱用がなぜ花粉症の急増を招いたのか、小柳津先生の主張を詳しく見て行きます。

まず、花粉症と同じように1970年代から急増している疾患には関節リウマチなどがあります。関節リウマチは、自分の免疫が自分の体のいろいろな臓器を攻撃する自己免疫疾患の一つですが、患者数が100万人とも言われ、現在も増え続けています。関節リウマチは膠原病というⅢ型アレルギーの一つと言われ、全身性エリトマト―デスやシェーグレン症候群も同じ仲間と考えられています。さらに自己免疫疾患とされる病気には、神経細胞を囲む髄鞘を攻撃する多発性硬化症や、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎なども含まれるとされています。そしてこれらすべての病気が、やはり1970年代から急増しています。

私たちの持つ免疫システムが異常を起こすことで発生するアレルギー疾患、自己免疫疾患など、多くの疾患が1970年代から急増している原因が抗生物質の乱用による、腸内フローラの乱れに起因していると言われているのです。抗生物質は私たちの体内に侵入した有害な病原菌、いわゆる悪玉菌を撃退してくれる非常に頼りになるクスリではありますが、同時に副作用として胃腸障害を起こすことが一般的に知られています。この胃腸障害こそが、腸内フローラの破壊であり、これがさまざまな免疫系の疾患の原因になっていると言われています。抗生物質は、悪玉菌だけでなく腸内の善玉菌も含め、見境なくすべての菌を駆逐してしまうために腸内フローラをあっという間に破壊してしまうのです。

腸内フローラとさまざまな疾患の関係については、ここですべては述べられませんが、上述したすべての病気は腸内フローラの乱れと密接に関係していることが、多くの研究者によって既に明らかにされており、その因果関係とメカニズムについては、現在も活発に研究が進められています。そして最新の研究では、精神疾患にも腸内フローラの関与が明らかになりつつあります。いまや400万人を超える人々が、うつ病・躁うつ病などの気分障害、神経性障害、ストレス関連障害に悩んでいます。そしてアルツハイマー病など認知症の増加も大きな社会問題になっています。こうした精神疾患にも腸内フローラの関与が明らかになりつつあるのです。以前もお話しましたが、脳と腸はお互いに相関しあう関係にあり、脳腸相関によって腸内フローラが私たちの脳の活動に良い影響も悪い影響も及ぼすということなのです。

抗生物質による腸内フローラの破壊、これこそが多くの免疫トラブル、花粉症に代表される現代病、そして増え続ける精神疾患の大きな原因であるとする小柳津先生の主張は大いに賛同できると考えます。同時に私たちのサステナが果たす役割も、ますます広がりつつあることを改めて認識するトピックでした。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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