NO.125 1月9日【木】=日本人の腸内環境=

おはようございます。

講談社のブルーバックスシリーズに「欧米人とはこんなに違った日本人の体質」と題し、医師の奥田昌子さんが非常に興味深い研究成果を報告されているので、ここで紹介したいと思います。奥田昌子医師は、京都大学医学部出身で、予防医学の実践者として健診や人間ドックを通じて延べ30万人近くの診察・診療にあたる傍ら、海外医学文献や医学書の翻訳も行う、大変にパワフルな現役内科医です。

奥田医師は、増え続ける大腸がんの原因のひとつとして腸内環境が大きく影響していると考えており、その観点から海外などで行われたさまざまな研究データを調査分析し、日本人の腸内環境が外国人と比べてかなり違っている事実と、その差が食生活に大きく依存していることを指摘しています。まず紹介されている最新の研究では、日本、欧米、中国など12か国の合わせて750人が参加して、腸内細菌とその遺伝子を国ごとに比較する調査が行われました。結果は、国によって腸内細菌の種類が大きく異なるということが明らかになりました。

そして日本人の腸内細菌は、他の国の人々に比べて、ビフィズス菌をはじめとするいわゆる善玉菌が多く、悪玉菌が比較的すくないという結果でした。ご飯などの炭水化物から無駄なく栄養を引き出すのに役立つ細菌など、体に有益な機能を持つ細菌が多く生息し、有害なガスなどを作る細菌も少ないうえに、日本人の腸の細胞の遺伝子はキズがつきにくいことを示すデータも得られたと言います。結論として日本人の腸内環境は非常に良好で、このことが平均寿命の長さや肥満率の低さと関連する可能性があるとも述べています。

また別の調査では、米国の白人とアフリカ系黒人の大腸がんの発生率が大きく違う点に着目し、その要因を食生活の変化にあることを研究により証明しています。実験の内容は、アフリカ系の米国人には南アフリカ農村部の食事を、一方南アフリカ人には、米国式の食事を2週間とってもらい、その腸内環境の変化を調べるというものでした。結果として、いずれも実験の前後で腸内環境に大きな変化が確認されたと言います。アフリカ系米国人は、腸内に免疫機能を調節する物質が増加し、一方の南アフリカ人は大腸の粘膜に炎症が起きていることが確認されたと報告しています。大腸がんの発生率に大きな影響を与える要因がそれぞれ確認されたことになります。

この差は、食事に起因していることは明らかで、南アフリカの食事はトウモロコシが主食、米国式の食事に比べて食物繊維が5倍多く、動物性の脂肪とたんぱく質が少なかったことがその要因であると推測されます。これは日系人にもあてはまる事実で、米国に移住して世代を重ねると大腸がんの発生率が、やはり米国白人を上回るそうです。

たった2週間食事を変えるだけで、腸内環境は良くも悪くもなるということを示したこの実験は、比較的腸内環境が良好と言われる私たち日本人も肝に銘じるべき事実であり、食生活の大切さを改めて認識する研究であると思います。その意味で、私たちのサステナは良好な腸内環境を守るうえで、大変に頼もしい味方になってくれる存在であることに改めて感謝したいと思います。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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