NO.100 11月13日【水】=活性酸素は悪者?=

おはようございます。

昨日は、病気と酸化についてお話しましたが、その際にカラダの酸化が老化と病気の大きな原因であると述べました。では酸化とはどのようにして起こるのか、少し化学のお話をしたいと思います。私たちのカラダの中だけでなく、酸化とは自然界においてあらゆる場面で起きている化学的な反応を指しますが、具体的にはある物質に酸素が結合して起こる変化を酸化と言います。身近な例では鉄などの金属に酸素が結合すると錆びるという現象があります。また水素や炭素が燃えるときも、酸素と結合して水や二酸化炭素に変化します。錆びるのも燃えるのも酸素が結合する酸化反応なのです。

では、カラダの中ではどのように酸化反応が進むのでしょうか。体内で火は起こりませんが、燃焼したり錆びたりという比喩的に言われている現象が酸化反応です。そしてこの酸化反応を起こしているのがまさに酸素であり、私たちは呼吸によって酸素をカラダに取り込んで、炭水化物や脂肪を燃やす(酸化)ことでエネルギーを作り出しているのです。さらにそのエネルギーを使って筋肉を動かしたり、食べ物を消化したり、取り込んだ栄養素からカラダに必要な成分を再合成したりして、日々生命活動をおこなっています。つまり酸化反応自体は、生命活動の原動力とも言える大切な化学反応なのです。

分子の世界では酸化とは、酸素と結合することだけでなく、その物質の分子が持っている電子を相手に奪われることを広く酸化と言います。鉄が酸素と結合するとき、鉄分子は酸素に電子を奪われる(共有する)形で結合します。結果、鉄が酸化され酸化鉄(錆び)に変化します。つまり相手に電子を渡すことが酸化であり、逆に相手から電子を奪う変化を還元と言います。この電子のやり取りは、常に自然界でも起きていることで、この電子の移動によってエネルギーが発生し、これを私たちのカラダは生命活動に利用しているのです。

したがって酸化という反応は、生命活動に必要なエネルギーを生み出す大切な仕組みであり、その主人公として欠かせない存在が酸素なのです。人間のみならずすべての生物が生きてゆくために毎日酸素を必要としているのはそのためなのです。しかしその酸素をカラダが利用するにあたっては、他の物質と反応しやすいように活性化します。これが活性酸素と呼ばれるもので、反応性が高い分非常に不安定な状態になります。反応性が高いということは誰かれ構わず反応してしまうため、予定外の物質と反応するとその組織を傷つける危険性もあります。つまり潜在的に毒性もあるということです。本来は、この活性酸素がさまざまな体内の代謝(化学反応)を推進する原動力になりますし、また免疫システムにおいては、外敵を破壊する強力な武器にもなるのですが、一方でその強い反応性を制御しきれないと、自身の組織を傷つけたり、障害を起こす原因にもなります。まさに諸刃の刃という存在です。

活性酸素は、私たちのカラダの代謝には必要不可欠な存在ですが、一方でこれをしっかり制御できないと様々な病気の原因にもなるということです。つまり活性酸素は私たちのカラダの代謝に必要な存在ですが、これをきちんと制御する仕組みが機能しななかったり、あるいは不調な状態では、強い毒性を持つため、さまざまな病気の原因になる可能性があるということです。ではこの活性酸素が本来の役目を全うし、余計なトラブルを起こさないようしっかりコントロールするにはどうしたらよいのか、その方策について明日もお話を続けたいと思います。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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