No.49 7月31日【水】=A2ミルクってなに?=

おはようございます。

7月も最終日です。夏休みシーズン本番を迎え、各地で花火大会や盆踊り大会が開催されていますが、連日猛暑日が続いており、体調不良を訴える人も続出しているようです。今週も週末に向けてさらに気温が上昇するとの予報もあり、西日本では40℃を超える地域も出ているようです。とにかく熱中症の予防と対策を徹底して、身を守る行動に心掛けましょう。

さて先週は北海道の放牧酪農を視察する機会に恵まれましたが、私たちが日々口にする牛のミルク、つまり牛乳や乳製品には、その生産方法の違いによって、さまざまに品質や機能に特徴を持った多様なミルクが開発され、研究されています。私たちの免疫ミルク「サステナ」もその一例ですが、ミルク自体が、非常に栄養価が高く、また生命の維持に欠かせない多様な成分がバランス良く含まれている、オールインワンの食品として、とても貴重な存在であると言えます。栄養的には完成度の高いミルクと言う食品にさらに付加価値を高めるために、飼料を工夫して風味や味に特徴を持たせたミルク、ラクトフェリンなど特定の機能性成分を調整したミルク、あるいは乳脂肪分や乳糖など、特定の成分を低減させたミルク、そしてIgG抗体などの有用成分を強化したミルク(免疫ミルク)等々、さまざまなミルク製品があります。

そして最近注目されているのが、A2ミルクと呼ばれる牛乳製品で、特徴は日本人など有色人種に多いとされる乳糖不耐症の方にも飲みやすいミルクとして紹介されています。このA2ミルクは、近年アメリカやニュージーランドでも研究されているようで、臨床試験によって乳糖不耐症の方が飲んでも、腹痛や下痢、消化不良の症状が通常のミルクに比べて出にくいことが示されていると言います。実際の論文を検証してみましたが、確かに数値では通常のミルクよりは、各種症状の発生は少ない傾向が確認されています。しかし乳糖を除去したミルクとの比較では、やはり症状は一定程度発生しており、症状の低減はしているが、解決できているとは言い難いようです。

A2ミルクは、その生産方法に特徴があり、遺伝的にベータカゼインと呼ばれるタンパク質の構造に特徴があります。牛乳中のベータカゼインにはそのアミノ酸配列の違いにより、2種類のベータカゼインが存在し、これは乳牛の個体によって遺伝的に決められているそうです。A2ミルクは、この2種類のベータカゼインをA1、A2と名付け、A2タイプのベータカゼインをつくる遺伝子だけを持った乳牛を選んで飼育し、生産しているそうです。その結果、これらの乳牛によって生産されたミルクには、A2タイプのベータカゼインしか含まれていないというのがA2ミルクの特徴です。

では、A2ミルクの特徴であるA2ベータカゼインは、A1ベータカゼインと比べてどんな生理作用があるのでしょうか。A1であろうがA2であろうが、タンパク質の一種であるベータカゼインは、胃腸で消化され、最終的には各種アミノ酸に分解され吸収されます。その過程でアミノ酸が数個つながったペプチドと呼ばれる物質になります。このペプチドが生理的な作用を持っていて私たちの身体にさまざまな影響を及ぼすと言われています。そしてA2ベータカゼインから分解された特徴的なペプチドが、乳糖不耐症の症状の緩和、低減に働いているのではと推論されています。しかしながら、そのメカニズムの詳細については、未だ解明には至っていないようです。

実際、A2ミルクと通常のミルクでは、乳糖自体の含有量はほぼ変わりません。つまり乳糖はA2ミルクにも相応に含まれていますから、その影響である乳糖不耐症を完全に打ち消すことは、やはり無理な話であって、どの程度低減できるかが現実的なところですが、まだまだ臨床データも不足しており、またメカニズムも十分に解明されていないようですので、今後さらなる研究が必要と考えます。しかしこの研究によっていずれ乳糖不耐症解決の糸口がみつかる可能性はあります。それに期待したいですね。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

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