No.4 5月14日【火】=生存環境科学(分子の世界)=

おはようございます。

先週からの続きです。宇宙を含めてこの世界は、まず陽子、電子、中性子と呼ばれる三つの粒子がさまざまな形で組み合わさって原子(元素)を作り、その原子がまた組み合わさって分子を作っているという最もミクロの世界のお話をしました。そしてこの分子が私たちの見える世界のすべての物質を形作る単位になっていることを、今日はお話しようと思います。分子は一定の特徴を持った物質がその性質を失わない最小の単位といえます。

例えば水分子は、化学記号ではH2Oとあらわしますが、これが水という物質の最小単位で、これ以上分解するともう水ではなくなるということです。H2Oですから、分解するとHが2個とOという原子に分けることができますが、Hは水素原子、Oは酸素原子ですから、もう水ではなくなります。CO2も同じですね。二酸化炭素の分子も、さらに分けるとC(炭素)とOが2個(酸素)になるので、もう二酸化炭素ではなくなります。ここが理解できるといろいろなことが分かりやすくなります。

例えば、私たちの肉体はほぼC、H、O、N(炭素、水素、酸素、窒素)でできていると言っても過言ではありません。ただしこれは原子(元素)レベルの話で、これがさまざまに組み合わさって、分子を作りこの分子が多様な物質の最小単位になっているからです。私たちの肉体のおよそ60%は水といわれています。そして20%がタンパク質、15%が脂質、そして残り5%がミネラルといいます。

水はH2O、タンパク質は分子が大きくて種類がたくさんありますが、基本構成はNHCHRCOOHと表されます。Rは側鎖と呼ばれる部分で、ここがいろいろ変わることでタンパク質の種類が無限に変わりますが、やはり基本はC、H、O、Nなのです。そして脂質も、身体の重要な成分ですが、やはり分解すると、CHOの三つの元素によって構成されその組み合わせや構造によって、さまざまな性質の脂質を作っているのです。つまりミネラル以外は、ほぼ四つの元素CHONでできているということです。そしてミネラルがたった5%ですが、非常にたくさんの種類が存在しています。カルシウムやナトリウム、カリウムやリンといったものも、私たちの身体の大切な要素ですが、それは他の元素と比べればそれほど多くはないということです。

では、植物の場合はどうでしょう。水が大半を占めるところは共通ですが、私たち人間を含む動物との違いは、やはり炭水化物(糖質)が水に次いで多く、ちょうど動物のたんぱく質と脂質の大半が炭水化物に置き換わっているような構成です。しかし炭水化物も、その名のとおり炭素と水素に酸素が加わったもので、組み合わせは多種多様ですが、結局CHOの三つの元素からなっています。

ここで、気が付かれた方も多いと思いますが、私たちの暮らす生活環境で日々接しているものを思い出してください。まず、大気は窒素、酸素、水、二酸化炭素です。そして海は、当然水とミネラルです。やはりCHONがほとんどで、ミネラルにその他のさまざまな元素を含む物質が存在しているという世界なのです。そしてこれらの元素が、さまざまな組み合わせによてさまざまな物質を構成し、私たちが生命活動を紡いでゆく原動力として働いているのです。

元素や分子というレベルで見ると、この世界はすべての物質が巧妙にリサイクルされることで動いているというのが見えてくると思います。明日はこの分子から物質への流れを考えてみたいと思います。

今日も一日頑張ってゆきましょう。

よろしくお願いします。

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