おはようございます。
今月9日に米国で最も権威ある医学賞とされる「ラスカー賞」の受賞式が行われ、基礎医学賞、および臨床医学賞の2部門を4人の日本人研究者が独占して受賞する栄誉に輝きました。ラスカー賞はノーベル賞の登竜門とも言われ、過去受賞者の多くが後にノーベル賞を受賞しており、iPS細胞を開発した山中伸弥教授や、抗体遺伝子の利根川進教授なども、ノーベル賞に先立ちラスカー賞を受賞しています。また今年は、公益事業賞の部門で俳優のマイケル・J・フォックス氏がパーキンソン病への研究支援活動などが評価され受賞したことでも話題になりました。
今回の日本人の受賞は基礎医学賞が筑波大学の柳沢正史教授、そして臨床医学賞が中外製薬の研究者で、服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏の4名でした。柳沢教授は睡眠と覚醒に重要な神経ペプチド「オレキシン」の発見、そして中外製薬の研究者たちは、血友病治療薬の開発がその受賞理由となりました。特に注目すべきは、柳沢教授のオレキシンの研究です。オレキシンの発見自体は1998年にさかのぼりますが、その機能や役割の全容はなかなか解明が進まず、食欲に関係することでギリシャ語のオレキシス(食欲)から名付けられたといいますが、その後睡眠や覚醒の制御にも関わっていることが分かり、睡眠障害のナルコレプシーの治療に大きな貢献が認められ、受賞に至ったといわれています。
ナルコレプシーとは、日中の耐えがたい眠気や睡眠異常、情動性脱力発作などを起こす過眠症で、日本では1,000人に1人が発病する睡眠障害と言われています。オレキシンの研究から、ナルコレプシーの根本治療薬が今年承認されたことも大きいですが、オレキシンの作用を制御することで、不眠症治療にも大きな成果を残しています。オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれる副作用の少ない新しいタイプの不眠症治療薬が、今日世界中で開発販売される基礎を築いた功績は大変大きいものがあります。
不眠症をはじめとする睡眠障害は、いまや日本人の4人に1人が抱える社会問題になりつつあります。睡眠時間の不足はもちろん、ナルコレプシーと呼ばれる過眠症、さらに睡眠時の無呼吸症候群など、その症状はさまざまであり、また原因も生活習慣に由来するものや、精神的ストレス、人間関係などさまざまであり、さらに血圧や血糖値などの調整にも悪影響を及ぼすことから、糖尿病や血管疾患などの合併症の引き金になるリスクがあります。またs最新の研究では、うつ病や認知症との関連も指摘されています。
睡眠障害を克服し、良い睡眠を得ることが身体の健康はもちろん精神の健康にも非常に大切であることは言うまでもありません。では具体的にどのようなことに注意すればよいのか、次回はラスカー賞を受賞された柳沢教授の著作からいくつかのヒントを探してみたいと思います。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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