NO.317 2月5日【木】=レアアース問題=

おはようございます。
中国による輸出規制で、日本のみならず国際的な供給体制に大きな影響が出ているレアアース問題ですが、一口にレアアースといっても、実は17種類にもなる鉱物由来の金属元素の総称であって、日本語では希土類とも称されます。その文字からわかる通り、鉄や銅といった金属に比べて、存在量が稀であるか、技術的あるいは経済的な理由で抽出が困難な金属元素とされています。レアメタルとも称される場合がありますが、レアメタルはチタンやマンガン、コバルト、マグネシウムといった元素を含む34種類の金属元素の総称で、その中でもより希少で現在工業需要が伸びているのが主にランタノイドに分類されている17種類の希土類元素レアアースです。

レアアースの需要が伸びているのは、脱炭素化やパソコン、スマートフォンといったハイテク製品の普及に欠かせない原料として使用されているからです。電気自動車に欠かせない高性能モーターや、さまざまな電化製品を制御する超小型モーターなどには、強力な磁石が使われており、また技術革新が盛んな蓄電池の性能向上にも多くのレアアースが使われています。さらに光学ガラスやセラミック、化学触媒などの用途もあり、自動車やIT製品など、先端技術が求められる分野では、レアアースの需要は今後も増える一方と言われています。

このようにハイテク産業を支えるレアアースですが、世界の供給体制が非常に不安定化しています。原因は中国の存在で、年間14万トン(2020年)を産出しており、現在世界の58%を占めていると言われています。過去には、中国が90%以上のシェアを持っていた時代もあり、なんとか中国依存を減らす方向で世界が動いていますが、中国の優位性は変っていません。その理由は、精錬技術の問題とコストにあります。中国には、レアアースの原料である酸化物を簡単に取り出せる、特殊な鉱石が存在します。この種の鉱石は中国以外の国ではほとんどみられないものです。さらに中国は鉱石から出てくる放射性物質や精錬工程で使用される危険性の高い化学薬品も、環境への影響に配慮せず比較的自由に使用していました。そのためコストを抑えて生産ができていたという背景があります。もちろん現在は、規制が厳しくなりつつありますが、まだまだ優位性は高い状態です。

日本は、レアアースの供給をほとんど輸入に依存しており、特に中国への依存度は6割近い状態で、今回のように中国との国交に問題が起きると、多大な影響を受けてしまいます。現在政府を挙げて、レアアースの安定供給に向けた対策を模索していますが、先日大きなニュースがありました。政府の探査船「ちきゅう」が、日本のもっとも東に位置する南鳥島の周辺海域で、水深6000メートルの海底から、レアアースを含む泥を採掘する試掘に成功したというのです。この周辺のレアアース埋蔵量は1600万トンとも推定され、これが安定的に産出できるようになれば、日本の現在の需要の数百年分をカバーできるという試算もあり、非常に期待されています。調査によれば、このレアアース泥は放射性物質もほとんどなく、非常に良質のレアアース原料となるようです。まだまだ、安定供給には時間がかかりそうですが、希望が見えてきたニュースでした。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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