おはようございます。
昨年来の米騒動がまだまだ落ち着く気配がありません。あらゆる物の価格が上がっているなかで、政府は今年度補正予算案に重点支援地方交付金として2兆円を計上し、そのうち4千億円を食料品の価格高騰対策への特別予算としました。この交付金は、各自治体が地域の実情に合わせて柔軟に活用できる仕組みとなっており、プレミアム付き商品券や電子クーポンなどに活用される予定で、その一例としておこめ券の配布を鈴木農水大臣が紹介しましたが、これが新たな論争を呼んでいます。
おこめ券は、米販協とJA全農が取り扱うお米専用の商品券ですが、500円の額面に対して440円分のお米と交換できる仕組みで、60円分が手数料と販売者の利益になっているそうで、結局税金を使って全農や米販協といった身内への利益誘導ではないかという疑念まで起きている状況です。さらに現状でのおこめ券の流通は非常に少なく、これを全国的で配布するとなると全く事務作業が追い付かない懸念や、新たに有効期限を設けるとなると、新たなおこめ券を印刷して準備するなど、管理も含めて現場も対応に苦慮することになると指摘されています。
すでに複数の自治体が、おこめ券の採用には否定的な見解を示しており、手数料で1割以上も目減りするなら、他の方法で市民により多く還元する方法を工夫したいとしています。具体的には水道料金や学校給食費の補填であったり、食料品の電子クーポンや、過去にも採用されたプレミアム商品券の販売を検討している自治体もあるようです。電子クーポンやプレミアム商品券は、すでに実績があって紙媒体を必要としないなど、経費的にも安く済む点で、市民への還元が大きいと多くの自治体は考えているようです。特にプレミアム商品券は、例えば5千円で6千円分の商品券を販売すれば、交付金を原資として、その何倍もの購買行動が見込めるので、経済効果としては大きいという利点もあります。
東京の台東区や大阪市など、いくつかの自治体ではこの地方交付金に先行する形でおこめ券を配布を実施している自治体もあるようですが、世帯あたり4,400円分というのが相場のようで、現在のマーケットの価格では、5キロを1袋買えるか買えないかというレベルです。2人家族世帯でも1カ月持たないと言いますから、これでは現在の物価高騰対策として、まったく焼け石に水という意見です。またおこめ券が高止まりする米価を下支えするので逆効果との指摘もあり、おこめ券は政策としては全くの愚策でしかないと酷評する専門家が多いようです。
長引く令和米騒動ですが、石破政権で増産に舵を切ったかと思いきや、高市政権では需要に合わせた生産に方向を再転換し、生産調整を再開することになりそうです。こうした政策の変更が相次ぐことで、生産者はもちろん関わる流通業者にも大きな混乱が生まれ、結果として消費者に米価の高騰という形で跳ね返ってきているのが現状です。そしてその結果、明らかに消費者のお米離れが進んでおり、これがまたコメ農家である生産者に跳ね返ってゆけば、確実に負のスパイラルに陥ってゆく構図がみえます。日本のお米はこれからどこへ向かうのか、食糧安全保障という大事な問題でもあり、いまこそ日本の農政が問われているのではと思います。
きょうも一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。


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