NO.284 11月28日【金】=必須ビタミン=

おはようございます。

私たちは日々生きてゆくために、必要な栄養素を主に食事などを通して体外から補給し、これを消化吸収することで、活動のエネルギーとして利用したり、またカラダの器官や臓器などをメンテナンスしたり、あるいは再生したりと、さまざまに利用活用しています。私たちが生きてゆくのに必要な物質は、ほとんどがこの食事を通して取り入れた物質を一旦消化分解して、分子レベルまで細かくしたうえで、これを原料として、体内で再合成し、カラダのパーツとして利用したり、あるいはエネルギーとして活用する能力を備えています。つまり私たちはカラダの中に、さまざまな物質を合成して作り出す化学工場を持っていると言えます。そしてその設計図の大元が私たちの遺伝子に組み込まれているのです。

しかしながら体内の化学工場は万能ではなく、どうしても体内で作れない物質もあります。それが必須栄養素と呼ばれるもので、生きてゆくのに必要な物質であるのに、体内では作れない、あるいは作る設計図(遺伝子)がない物質です。必須栄養素には、必須脂肪酸、必須ミネラル、そして必須ビタミンなどがあり、特に必須ビタミンは、カラダの調子を整えるためにどうしても必要なものが13種類ほどあり、これらのビタミンが欠乏するとさまざまな病気を引き起こす原因になることが知られています。これら必須栄養素はバランスの取れた食事から摂取することが望ましいのですが、現代では食事だけでは不足しがちなビタミン・ミネラルをサプリメントとして補給することが一般的になっています。

必須栄養素の大半は、非常に微量でその必要な働きを担ってくれるものが多いのですが、中にはビタミンCのように毎日かなりの量を体外から供給する必要があるものもあります。サプリメントでも健康食品でもビタミンC配合を謳ったものが大変多く流通しているのは、それだけ量を必要とする必須栄養素である証といえます。他の哺乳類のほとんどは、体内でビタミンCを合成する能力があるのに、人間はその進化の過程において、その能力を退化させてしまった、つまり失ってしまったと考えられています。

その理由については、実はまだよく解っていなかったのですが、最近新たな見解が論文として発表されました。2025年アメリカ発の報告です。「ヒトにおけるビタミンC生合成の喪失は寄生虫感染から保護するため」という題で、ほとんどの哺乳類は自分の体内でビタミンCを生合成できる能力を持っているのに、ヒトはその遺伝子が封印されていて、外部から摂取し続けなければならないという非常に不便な生物ですが、それはこの寄生虫の感染を防ぐために、ビタミンCの合成をしなくなったというのです。

マンソン住血吸虫という寄生虫は体内で卵を産むために宿主のビタミンCを必要とします。その結果、ビタミンCをつくれない欠損マウスは、住血吸虫症に感染しなかったと言います。

あくまでマウスの実験で、実際には年間に大勢の人が住血吸虫症に感染していますので、これが結論だとするのは尚早ですが、ヒトのビタミンC合成能喪失は必ずしも有害ではなく、ビタミンCを必要とする病原体から自身を保護するメリットがあると結論づけています。人間がビタミンCを自身で作れなくなったのは、進化の過程で寄生虫から守るためであった、という一つの新説なのです。

今日も一日頑張ってゆきましょう。

よろしくお願いします。

コメント

  1. ピンピンキラリ塩谷勇人 より:

    昨日は、ありがとうございました

    そうなんですね

    知りませんでした。

    日本は水田耕作とともに弥生時代に持ち込まれてようですね。