おはようございます。
食品の機能性表示について、従来の特定保健用食品(トクホ)より簡便な手続きによって食品の保健機能を表示できる機能性表示食品は、2015年に創設されちょうど10年が経過しています。トクホに比べて、国の審査を必要とせず、事業者が自らの責任において表示を行うことができる制度ということで、現在多くの健康食品が機能性表示食品として、市場で販売されています。もちろん国の審査がないとはいえ、その届出にあたっては一定の基準を満たす科学的データの提出が求められ、政府が管理する体制は整備されていますが、トクホのような厳格な審査が課せられるわけではないので、その表示内容に関してもトクホよりかなり自由度が広がりつつあります。特に乳酸菌を関与成分とする乳飲料やヨーグルトは、トクホでは許可されなかったような大胆な表示内容で、大手メーカーがしのぎを削るCM合戦が展開されています。
まず、最初に「免疫」というタブー用語を表示に使ったのはキリンでした。キリンが2020年に「iMUSE」というブランド名で「免疫ケア」を標ぼうした製品としてプラズマ乳酸菌を成分とする機能性表示食品を届出し、受理されることになります。免疫という用語は、医学用語として食品の機能表示には使えないという従来の常識を覆す最初の事例として非常に注目されました。プラズマ乳酸菌が免疫の司令塔に働き、免疫を強化するという内容がテレビCMでも流れています。これは業界に大きな衝撃を与え、行政、特に薬務行政のこれまでの考え方に変化の兆しが見えた転機となりました。
その後、機能性表示食品は、大手食品を中心にさまざまな製品に独自の機能性表示を標ぼうして届出申請される事例が相次ぎ、いわゆる食品と医薬品の間を区別する大きな壁が少しずつ動き出したともとれる機能性表示食品が多数登場します。2019年には、森永乳業からトリプルヨーグルトという製品が発売され、血圧、血糖値、中性脂肪の上昇を抑えるという機能性表示で届出が受理されます。これも従来の常識であった、疾病名が直接連想される用語をそのまま使った大胆な機能性表示として、かなりの物議をかもしたのではと想像しますが、現在も堂々とCMなどで宣伝に使用されています。
そして今年10月に乳業最大手の明治が発売したヨーグルトは、その名も「ヘモグロビンA1c対策ヨーグルト」で、その機能性表示はHbA1cの低下をサポートすると、パッケージに明記されています。これはまさに糖尿病対策の製品であることを標ぼうしているわけで、この機能性表示申請が、科学的根拠はあるとはいえ、行政(消費者庁)が受理し公表したことに業界中が驚いています。明治は、過去にもR-1ヨーグルトで、「医師の94.4%が推奨」などとの表示で、インフルエンザや花粉症対策を暗に標ぼうして大ヒットした経緯がありますが、R-1ヨーグルトは機能性表示食品としては届出されていませんでした。おそらく、届け出た表示内容がインフルエンザなど直接の疾病名に絡んでいたため、受理されなかったのではと推測しますが、今回は疾病名ではありませんが、その疾病のマーカー(指標)となるヘモグロビンA1cを標ぼうするという作戦で行政にねじ込んだのではと邪推したくなる製品です。
いずれにせよ、昨今の機能性表示食品は、トクホの時代には想像もつかなかったような機能性表示が次々に製品として発表され、消費者にはその保健機能が分かりやすくなってきています。消費者は医薬品のような副作用がない安全な食品で、しかもその機能(効能)が科学的にも証明されているものを望んでいるわけで、これに応えることがようやく機能性表示食品によってその可能性が広がりつつあるのを感じます。私たちの免疫ミルクもこの流れになんとか乗ることができれば、もっと多くの人々に認知され評価いただくことができるのではと考えています。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

コメント
サステナも上手く表現を活用して、世に広めたいですね