おはようございます。
先日のノーベル生理学・医学賞の坂口志文さんに続き、昨日はノーベル化学賞に京都大学特別教授の北川進氏が選出されました。今年は日本人の受賞ラッシュとなりましたが、日本の科学者のレベルの高さを世界に誇示する結果になったと、大変誇らしく思います。北川氏と並んで、今年のノーベル化学賞はオーストラリア・メルボルン大学のリチャード・ロブソン名誉教授、米国・カリフォルニア大学バークレー校のオマル・ヤギ教授の3名に授与されました。いずれも、金属有機構造体(MOF)の開発とその発展に貢献したというのが受賞理由です。
しかし、金属有機構造体と言われても、一般の人には何のことか、なかなかピンとこない分野ではあります。先日の坂口氏の研究についても、なかなか目に見えないミクロの世界の話でしたが、私たちの身体の免疫という大切な仕組みのメカニズムを解明したことで、多くの疾病治療や健康増進に応用でき、難病に苦しむ多くの人々に希望の火をもたらす研究でありました。今回の北川氏の研究も、まさに分子の世界のお話であり、金属有機構造体とは「魔法のスポンジ」とも称される物質で、多孔性金属錯体とも呼ばれています。
それはどのような物質なのでしょうか。多孔性金属錯体とは、金属イオンと有機物を組み合わせ、内部に無数のミクロな孔(あな)を持つよう設計された結晶性物質と説明されています。これまでも脱臭剤として利用されている活性炭やゼオライトといった微細な孔をもつ多孔性材料は存在しました。しかしこれらの材料は孔の大きさや形が不均一であったり、構造の種類が限られたりするという制約がありました。それに対し、北川氏らが開発したのはオーダーメイド可能な多孔性材料で、金属イオンと有機物の種類を選択的に組み合わせることで、まるでレゴブロックのように孔のサイズや形、内部の化学的性質を自在にデザインできるようになったのです。
では、その用途はどのようなものがあるのでしょうか。自由に孔のサイズや形をデザインすることで、特定の分子だけを選択的に吸着し分離することができる多孔性材料には、さまざま用途が考えられます。特に気体の分子を吸着、分離する性能により、温暖化の元凶ともされるCO2(二酸化炭素)だけを効率よく回収分離する装置や、クリーンエネルギーとして利用が進んでいるH2(水素)の貯蔵装置としても開発が進められています。また、大気中のH2O(水蒸気)を効率的に集めることができれば、乾燥した砂漠地帯などでも水を供給することが可能になります。
北川氏は大気を資源に変えることができるといいます。大気は地球上のすべての国や地域にあまねく存在し、しかも当面枯渇することがないことから、そこからO2(酸素)やH2O(水)N2(窒素)CO2(二酸化炭素)などを選別回収し、これを資源として有効利用することができれば、石油や石炭のように資源を持つ国、持たない国という格差や、それに起因する争いや紛争もなくなるだろうと「魔法のスポンジ」の未来を語ります。北川氏の座右の銘は「無用の用」とインタビューで答えています。一見役に立たないように思えるものが、実は重要な役割を果たしているという意味だそうですが、大気(空気)を資源に変えるという発想は、まさに無用の用を体現する、発想の転換であると思いました。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

コメント
坂口志文さんの「制御性Tリンパ球・Tレグ」に引き続き、北川進さんの「魔法のスポンジ」金属有機構造体と言う、一般には馴染みの無い世界でしたが、その様な超ミクロの世界を数十年も電子顕微鏡を覗き研究している人が、突然に私達の目の前にクローズUPされびっくりします。私達サステナグループはMPCと言う生理活性物の超ミクロの世界の事さえ、体内での活躍も理論的に余り知らない中で頂いています。Tレグの発見と、評価されるまでの苦難の道のりは批判に晒されながらの今回のノーベル賞授賞でした。電子顕微鏡で見つめる姿を宇宙の果てから覗けば地球そのものが無で有りながらも有なのです。ナノ以下の分子は人の目では決して覗けないのに、実際には人や生物の為に一生懸命に働き進存在していたのです。私達の地球も北川進さんの魔法のスポンジみたいに、悠久なる宇宙の中でスポンジ宜しく
そんな存在では無いのだろうかと思うのです。地球美化の為のお役立ちにスポンジに頑張って貰いたいですね。