NO.259 10月8日【水】=ノーベル賞に坂口志文さん②=

おはようございます。
制御性T細胞の発見で今年ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった大阪大特任教授の坂口志文氏ですが、その受賞理由となった研究内容の意義と重要性については昨日お話した通りです。免疫システムのブレーキ役となる細胞を発見し、そのメカニズムを解明したことで、難病とされる自己免疫疾患や、患者数が増える一方のアレルギー疾患など、本来病気から私たちの身体を守ってくれるはずの免疫システムが、誤作動や暴走してしまって起きるとされている多くの病気に対する根本的な解決策の糸口になったのです。

しかし、坂口氏による制御性T細胞の研究は、簡単な道のりではなかったといいます。昨日もお話しましたが、免疫の制御はその中枢である胸腺の働きによるというのが主流の考え方であったとされ、末梢組織にブレーキ役となる細胞(リンパ球)が存在するというのは異端的な考えとして、坂口氏の研究はなかなか対外的には認められなかった時代があったといいます。論文を発表してもなかなか認められないので、研究を継続する事すら難しい時期があったといいます。大学であれ、民間であれ、研究内容が評価されなければ、研究費など予算がつかず、研究自体が行き詰まることになります。

それでも坂口氏は諦めることなく、出身の京都大学大学院を中退し愛知県がんセンター研究所に移籍、無給の研究生という立場で、自分を信じ研究を続けて行きます。このころ奥さまの教子さんと知り合われ、1983年からは共に米国ジョンズホプキンス大学に留学、1987年にはスタンフォード大学、1991年にカリフォルニア大学サンディエゴ校と、夫婦二人三脚で研究者としての経歴をかさねて行きます。奥さまも名古屋市立大学医学部の出身で、専門は皮膚科といいますが、研究のパートナーとして長年坂口氏を支えてきたそうです。坂口氏によれば、教子さんはとても器用なので細かい実験などはほとんど任せていたと言います。ただ、マウスや実験動物の扱いは苦手であったそうで、そこは坂口氏が担当したそうです。教子さんも、共に研究をする中で、新しいこと知らないことに出会うととても創造的でワクワクしたと言います。まさに同志として夫唱婦随で研究を進めてこられたのだと思います。

ご夫婦そろってインタビューでは、記者に共通の趣味はと聞かれ、全然ないですと答え、会場を笑わせました。共に仕事をする同志として、問題にあたれば共に考えて解決する、まさにパートナーとして一緒に取り組まれてきたと言います。そしてそのご夫婦としての関係性があったからこその研究であり、なかなか認められない時期があっても、明るく希望をもって乗り越えられたのだと思います。ノーベル賞受賞式には、ぜひご夫婦そろって登壇していただきたいですね。日本人として本当に誇らしい受賞であると思います。

今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

コメント

  1. 中川原雅夫 より:

    6年ほど前に遺伝子大学校で記述しました。その当時からノーベル賞候補だと伝えていた所です。

    『腸内フローラ遺伝子大学校』

    [分子整合栄養学]癌シリーズ 【11】

    腸内細菌が影響する病気は
    「人から人へ移らない病気」に成ります。
    その中でも、癌は自己免疫疾患と並び厳しい選択を迫られます。

    治療しても上手く行かない現実のジレンマがストレスとなるからです。

    こんな時に、腸内細菌の改善が必須です。

    便秘が有ろうと無かろうと、悪玉菌排除をする事で腸内細菌の善玉菌を
    相対的に或いは絶対的に増やす事が大切です。

    そこで今回は腸内細菌と免疫に関する
    癌へのアプローチを少し学びます。

    「悪玉菌の有害性」
    腸内腐敗、細菌の毒素産生、発ガン物質の産生などが挙げられ、
    免疫力が下がったり、便やガスの臭いがきつかったり、下痢や便秘を引き起こすなど、人体の健康に様々な悪影響を及ぼします。

    悪玉菌(10% )は、大腸菌、ウェルシュ菌 ブドウ球菌などで、
    たんぱく質を腐敗させ有害物質を作るのでこの改善を第一選択にしたいのです。

    免疫で重要な細胞が発見され、世界中の学者が研究に取り組んで居ます。

    「制御性T細胞の働き」 (Tレグ)
    細胞(自己成分)や有益な細胞を攻撃しないよう、免疫細胞の働きを抑える
    機能を持っています。

    この場合、癌細胞はもともと自己から生じた細胞なので異物(非自己成分)とは
    見なさず、免疫細胞の攻撃は抑制しようとしているのです。

    つまり制御性とは、癌細胞は自分そのものですから
    免疫が攻撃出来ない様にする仕組みなのです。

    制御性T細胞とは、本来は自己免疫病などにならないように、
    自己に対する免疫応答の抑制(免疫寛容)を司っている細胞で、
    健康人のCD4+T細胞のなかの約5%を占めています。

    しかし、がん細胞はこの制御性T細胞を利用して、
    免疫系からの攻撃を回避しています。

    大阪大学 免疫学 分子生物学

    制御性T細胞の発見者
    坂口 志文教授(ノーベル賞候補) 談話

    免疫は本来、体にできたがん細胞を取り除くはたらきを持っています。

    しかしがん細胞は、正常な細胞が突然変異を起こしてできたものですから、
    自己に極めてよく似ています。

    スターリジャパン大谷社長の、授賞を記念したコメントを載せます。

    その最初の発見が1995年の坂口教授による制御性T細胞で、免疫細胞にはブレーキ役が存在することを証明して見せました。

    当時、坂口氏の発見は時代の潮流に逆らう内容で、多くの研究者からは批判的な目で見られていたと言います。

    しかし、その後2001年に米国のブランコウ氏とラムズデル氏がマウスの実験で、自己免疫疾患に関わる遺伝子変異を発見、さらにその2年後、坂口教授はその遺伝子が自身の特定したT細胞を制御していることを証明したのです。

    免疫寛容という免疫作用のブレーキは、中枢である胸腺の働きによって行き過ぎた免疫細胞を排除して起こると、従来は考えられていました。

    しかし、この一連の発見により末梢組織においてもブレーキ役となる免疫細胞が存在し、それが免疫のバランスを調節しているということをまぎれもない事実として立証することになったのです。

    まさに免疫分野での革命的な発見であったと言います。

    そしてこの制御性T細胞の発見は、がんや自己免疫疾患の治療法開発を大きく促進し、今後は移植の成功率向上につながる可能性もあるといます。

    すでにこれらの治療法のいくつかは現在、臨床試験の段階にあるそうです。

    私たちの免疫システムは、外からの侵入者である細菌やウイルス、さらに体内で発生する有害な老廃物やガン細胞などを攻撃し駆逐してくれる頼もしい存在です。

    しかし、免疫は強ければよいということではなく、強すぎると制御が利かなくなり暴走することがあります。

    それが自己免疫疾患であったり、あるいはアレルギー疾患の原因です。

    普段は頼りになる免疫細胞たちをしっかり監視し、場合によってはブレーキをかけてくれる存在、それが制御性T細胞であり、まさに免疫のブレーキ役です。

    このブレーキ役をうまくコントロール出来れば、リウマチなどの自己免疫疾患や、花粉症と言ったアレルギー疾患を治療・予防できるだけでなく、ブレーキを一時的に外すことで、癌を積極的に攻撃するがん免疫療法や、臓器移植後の拒否反応を抑えたりすることも可能になるといいます。

    まさに免疫のバランス役として、大変に重要な役割を担っているのが、制御性T細胞なのです