おはようございます。
戦後80年となる節目の今年、国連総会も第80回を数えるに至り、ニューヨークの国連本部で、9月23日~29日の日程で開催されました。世界が注目したのは、140カ国に及ぶ国々の首脳が繰り広げた一般討論演説で、初日まず最も目を引いたのが、トランプ大統領でした。トランプ氏は、総会に参加するため、メラニー夫人を従えて国連本部のビルに入ったところからハプニングが始まります。議場へ向かうためのエスカレーターが、トランプ氏が乗ったとたんに停止してしまいます。反動でよろめきそうになりますが、気を取り直してそのままエスカレーターのステップを階段のように上って行きます。さらにハプニングが続いたのは、演説のために上がった檀上で原稿を映すプロンプターという機械が作動せず、結局手元の原稿を見ながら演説を行うことになります。
そしてその演説内容は、エスカレーターやプロンプターの故障を取り上げ、国連組織の非難の応酬に終始します。世界各地で発生している戦争・紛争について国連は問題を解決するどころか、それを作り出していると非難し、自身が代わりにこれまで7つの紛争を終わらせてきたと、その成果を強調します。さらに国連が警鐘を鳴らしてきた気候変動対策について「最大の詐欺」だと主張しました。そして国連が米国へ不法に来る人々を支援していると非難し、各国に不法移民の排除を呼びかけるなど、根拠の乏しい自論を一方的に展開し、15分の持ち時間を全く無視するかのように1時間以上にわたり、演説を続けました。野卑な言葉でののしるような場面もあり、議場の聴衆たちが目を細める場面もあったと言いますが、何よりトランプ氏の主張する「力による平和」が、この先世界にどのように受け止められるのか、中国・ロシアと言った大国の横暴を追認することにならないかある種不安を感じます。
先週末封切りされた映画「沈黙の艦隊」は、一隻の原子力潜水艦が国家を名乗り、米国を含め世界の核保有国に対して核武力による平和の均衡を放棄させるべく立ち上がるという設定なのですが、これに米国のベネット大統領という登場人物が第七艦隊、第三艦隊など、米国の軍事力を総動員して叩き潰しにかかるというストーリ―になっています。登場人物はすべて架空の人物ではありますが、まさに力によって抑え込もうとするベネット大統領と、トランプ氏がダブって見えましたのは、私だけではないと思います。力による現状変更は、決して許されるものではなく、それが第二次世界大戦を経て設立された国連の最も大切な大原則であると信じますが、果たして現在はその国連の安全保障常任理事国である大国のトップたちが、否定して良いのでしょうか。この先世界はどこに向かっているのか、本当に不安になります。
世界がかかえる平和への不安に対し、わが石破首相は、同じ日国連総会でトランプ氏とは対照的な内容で一般討論演説を行いました。その内容とは国連の安全保障理事会が十分に機能を発揮できていないとして改革を断行すべきだという訴えでした。また、中東情勢をめぐり、イスラエルが「二国家解決」への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、パレスチナを国家として承認する可能性を示唆しました。石破演説は、23日の午後9時を過ぎた時間であったため、議場は空席も目立ちましたが、演説を大きくうなずきながら聞く国々の代表も多かったと言います。その内容については明日、もう少し詳しくお話したいと思います。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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