おはようございます。
昨日からの続きです。大阪・関西万博の目玉のひとつ、iPS細胞による人工心臓がパソナグループパビリオンに展示されることになり注目を浴びていますが、2006年に山中伸弥教授たちによって日本で誕生し、いまや世界の再生医療の未来を担う中心的な技術になりつつある iPS細胞ですが、これから人工心臓と言った分野以外にどんな利用、応用が進んで行くのでしょうか。もう少し詳しく調べてみたいと思います。
まず iPS細胞の現在の応用分野についてみて見ましょう。すでに日本では、加齢黄斑変性やパーキンソン病、心疾患に対するiPS細胞を用いた治験や臨床研究 (ヒトへの投与) が始まっています。加齢黄斑変性は、モノを見るときに重要なはたらきをする黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受けて変化するために、視力の低下が起こる病気です。目に入った光は、網膜で受容し、視神経を通じて脳へ伝達されます。この網膜の中心部分を黄斑といいます。加齢黄斑変性に対するiPS細胞の臨床研究は、世界で初めて神戸市立医療センターおよび理化学研究所で行われ、現在も継続中です。
パーキンソン病は、手の震えや動作・歩行の困難などを示す進行性の神経変性疾患です。パーキンソン病が進行すると自力歩行が困難となり、鬱病や認知障害も併発すると言われています。40歳以上の中高年の発症が多く、特に65歳以上の割合が高くなっています。パーキンソン病の根本的治療方法はまだありませんが、京都大学医学部附属病院にてiPS細胞を用いた治験が進められています。
心疾患には様々な種類がありますが、代表的なものに虚血性心疾患があります。これは、心臓の筋肉 (心筋) へ酸素や栄養を運ぶための血管が、動脈硬化等のために狭くなったり閉塞したりして心筋に血液が届かなくなるものです。初期症状としては、心筋への血液が不足して胸が痛くなる狭心症を発症し、進行すると完全に血管が詰まった心筋梗塞となって心筋が壊死します。心疾患に関するiPS細胞を用いた治療の開発は、大阪大学をはじめ、企業でも行われています。
最近では、白血病やリンパ腫などの血液がん、卵巣がんや頭頚部がんなどの固形がんを対象とした臨床試験が広く行われています。iPS細胞から、がん細胞を攻撃する性質を有するリンパ球(NK細胞、T細胞)を作り出し、治療を行います(免疫療法)。特に米国の製薬企業が主導で行っている臨床試験では、多くの固形がんが対象となっています。
2人に1人ががんに罹患すると言われている日本において、iPS細胞を用いたがん治療は、今後の発展が期待される領域です。
このようにこれまでは難病として治療の方法がなかった疾病に対しても、iPS細胞の登場によって新たな希望、新たな道が拓かれつつあると言っていいと思います。そして、この万能とも言える iPS細胞を事前に、個人の体細胞(皮膚や血液など)から作成し保存しておくというサービスも生れています。やはり iPS細胞をつくるためのもとになる体細胞は、できるだけ若い方が遺伝子の変異も少なく、良質の iPS細胞がつくれるとのことです。自分用の iPS細胞を作成して保管しておけば、万が一の際にはすぐに治療に利用ができるというメリットがあります。通常は個人の体細胞から iPS細胞を作成するには3カ月から半年ほどかかるそうで、緊急には間に合わないこともあるため、健康なうちから準備しておくことも必要なのかも知れません。あらかじめ自分の身体のパーツをストックしておくというのが、まさに未来の医療なのかも知れません。大阪・関西万博で未来の疑似体験をしてみるのも面白そうです。
今日も一日頑張って行きましょう。
よろしくお願いします。

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