NO.173 4月11日【金】=トランプ関税の行方②=

おはようございます。

昨日からの続きですが、米中の報復合戦がさらにエスカレートし、とうとう中国からの輸入品には145%もの追加関税が課せられる事態にまで発展しています。対する中国も84%まで関税を引き上げていますが、昨日も述べたように、これではもはや米中間の貿易は不可能なレベルであり、実質の輸出入禁止状態になりました。しかしながら、これはトランプ政権としてはおそらく想定内であり、中国との貿易赤字が一気に解消されることは期待通りの結果とみているのかも知れません。しかし、その影響は株価、ドル為替、そして米国債の利回りに大きなインパクトを与える結果を招いており、市場は乱高下する大混乱に陥っています。

トランプ大統領の今回の関税政策の目的は貿易赤字の解消ですから、その目標を達成するために信念を持って突き進んでいくスタイルはトランプ支持者から見ればよくぞやってくれたという、まさに溜飲が下がる行動なのかも知れませんが、一方でさまざまな影響が市場に出てきており、トランプ政権の取り巻きたちもその対処に翻弄させられているように見えます。株安やドル安は想定内としても、米国債の暴落はやはり危険水域に達したと見え、各国の交渉窓口にもなっているベッセント財務長官からの進言により、中国以外の国には急きょ90日の相互関税発動延期を決めたものとみられています。

現時点では、すくなくとも中国との貿易は停止状態になっており、またそれ以外の米国の貿易赤字相手国も中国の二の舞にならないためにも、トランプ政権との交渉に積極的に応じてゆくべきとの流れが出来上がりました。日本がその最初の交渉相手になりそうですが、果たしてどのような提案、譲歩案で臨むのか、間違いなく米国からの農産物などの輸入拡大を約束させられるのだろうと予想しますが、他の国々もこれに追随する形で、米国からの輸入を促進する関税政策と、さらに米国内の製造業への投資、生産拠点の移転などをこぞって提案するものと見られ、結果として米国の輸出入バランスが、大きく改善する方向に進むと見られています。

そしてもう一つ、トランプ大統領の大戦略にあるのは財政赤字の解消です。米国債が売られ金利が上昇すると見るや、間髪入れずに90日の延期を決定したのも、おそらく国債の価格低下による財政への悪影響を阻止したかったのだろうと見られています。米国の財政赤字は暦年の課題であり、1980年代のレーガン政権下で双子の赤字として問題視されて以来、歴代大統領はその解消に取り組んできましたが、これを解消・解決できた大統領はいません。もはや不可能とも言われるこの双子の赤字をトランプ大統領は本気で解消しようとしているのかも知れません。少なくとも貿易赤字は、相互関税という強引なやり方で、縮小の方向が見えて来ました。次は財政赤字ですが、これも関税歳入がすでに功を奏したのか、3月の財政収支は赤字額が前年に比べて大幅に縮小していると発表されました。

ただし、財政赤字は今年度も1.8兆ドル程度の赤字と予想されており、米国政府の負債額の累計は34兆ドルに達しているといいますから、その額は日本の比ではありません。もちろん絶対額の比較ではなく、国の経済規模としてGDPなどとの比較で考えるべきと専門家は分析しますが、それでも途方もない借金であることは間違いありません。はたしてこれを本当に解消できるのか、少なくとも年度の財政収支を均衡させることが最初ですが、トランプ氏は本気でこれを目指しているのかも知れません。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

コメント

  1. 中川原雅夫 より:

    トランプの雷鳴が世界中に恐怖心を落としています。毎日の報道に何かしら慣れて来たのか輸出業に取れば企業閉鎖も視野に輸入コストも跳ね上がり世界中がインフレに脅かされているのでしょうか。デフレからの脱却がいきなり高インフレでは堪りません。生活インフラでの野菜類の高騰は生産地が外国で輸入に頼らなければならない実態からコンビニ業界も悲惨な状況みたいです。政府は3万円の国民への支給を実施する様です。その事はともかくとしてニュージーランドのクリマトファ・ラクソン首相の談話も気になります。スターリジャパン社の輸入コストがどの様になるのか気なる所です。。健康寿命の延伸は最大の課題なのにこれ以上の値上げは国民の健康負担が増して医療費の削減が遠のく事を危惧します。トランプの去るまでの4年間に耐えられる生活基盤は自らの力で切り開くしか無いのです。幸いに販売を可能にしたシステムが機能している事に着目して年金の積み立て感覚でも自らを守る対策が重要です。重篤な病気にならない様に抗体ミルクで健康の自主管理運動が本当に大切だと感じます。トランプ雷鳴が中国に激しく落ちています。中国人もアメリカ人もロシア人も戦争は嫌いなのに政治家は何故かお祭りの如く喧騒を楽しんでいるのでしょうか。