おはようございます。
政府備蓄米が市場に放出され、JAなど流通業者を通じてスーパーなどの店頭に出回り始めていますが、それでもお米価格の高騰が止まりません。発表された入札価格からすれば、少なくとも小売りレベルでキロ当たり40~50円くらいは安くなる計算なのですが、店頭での価格は下がるどころか上がり続けているという異常な事態です。政府が解決しようとする流通の目詰まりは、15万トンや20万トンくらいの備蓄米の放出では全く改善されないほど、業者間での取引に対する不信感や出し渋りが過度に進んでしまっているのか、それとも一部の専門家が指摘するように、単なる目詰まりではなく需給バランスが根本的に崩れてしまっているのかも知れません。つまり生産調整が進みすぎた結果、圧倒的に供給が需要に追い付いていない状況に陥っているにも関わらず、その調整を進めてきた行政がきちんと事態を把握できていない、且つ対応が遅すぎてさらに事態を悪化させていると言います。
毎日の食卓の主役とも言えるお米の高騰は、私たちの家計を直撃する大きな問題ですが、お米に限らず食料品の価格は軒並み値上げが続いています。その背景には円安という為替環境の変化が大きいと言われますが、食糧自給率が4割を切ろうとしている日本の食卓事情を考えれば、輸入品の高騰は避けられない経済問題です。そしてそれは輸入品のみならず、国産の農産物であっても同様に高騰を続けています。たとえ国産と言えどもその生産過程において、生産効率を上げるために大量の肥料や飼料、あるいは農業資材が使われている近代農業においては、やはり輸入に依存している比率が非常に高いため、結局円安の影響を受けざるを得ないのが現実です。食卓の優等生と言われた卵も、5年前とは価格が倍近いレベルまで高騰しました。まさに餌の輸入価格がそのまま卵の価格に反映されている状況です。
ただ、興味深いのは鶏卵の価格は、それでも日本は世界と比較すればまだまだ安いほうで、海外のスーパーで売られている卵は桁がひとつ違うレベルも見受けられます。ニューヨークの街角である農家が支援イベントとして卵12個入りのパックの無料配布を行ったところ、用意した100パックに数百人の行列ができたと言います。日本では高くなったとはいえ、卵1個20~30円ですが、米国では卵1個が1ドルなので、12個パックは円換算で1,800円もする高級食材なのです。アメリカの場合は鳥インフルエンザの流行もあって高騰しているようですが、結局食糧品、特に農産品の価格を決めている要因には、国や地域によってさまざまな事情があり、同じ食料品でも全く違う価格相場が形成されていると言えます。特に鶏卵など加工度が高くない生鮮食料品はその差が大きい傾向があります。
そしてその価格差は品質の差というより生産コストの差であり、同じ卵なのに生産方法が違えば、これだけ価格が変わってくるという良い例かも知れません。日本の卵がいまも比較的安価なのは、高度に管理された養鶏場のシステムと餌に特徴があると言えます。養鶏は農場というより工場に近く、窓もない屋内に何層にも積み重ねられたケージで、ほぼ身動きも取れない檻に固定されて、日々目の前の配合飼料をついばみながら、一日中卵を産み落とすことだけを課せられた何万羽ものニワトリが飼育されていると言います。動物愛護団体から見れば、虐待の極みと言ってもおかしくない環境で、ひたすら配合飼料を原料に鶏卵を生み出す工場であり、ニワトリはその製造装置と言ったところでしょうか。これが日本の養鶏であり、鶏卵の安さの秘密と言っても過言ではありません。海外で目にする養鶏場では、ニワトリは檻はあっても、柵のなかで走り回れる平飼いというスタイルが多く、日本とはまったく違う環境で飼育されています。結局生産コストを下げるために効率化を進めて行くと、農業も管理された工業化の道を歩むということなのでしょう。
鶏卵の例に限らず、私たちのサステナも似たような事情があります。ニュージーランドにこだわるのは、ミルクを産生する乳牛の飼育環境、飼育方法にこだわるからです。養鶏工場の卵と、平飼いの鶏卵と見た目はどちらも卵であることに差はありません。しかし卵を産むニワトリの健康状態の差は必ず卵の品質に影響を及ぼしているはずです。私たちのサステナで考えれば、乳牛の飼育環境のみならず、食べている餌も当然ミルクの品質に大きな影響を与えています。しかも牛は草食動物です。穀物を食べる牛は野生にはいません。完全放牧によるグラスフェッドミルク(牧草飼育によるミルク)にこだわる理由がそこにあります。穀物や添加物を食べてつくられたミルクと、牧草を食べてつくられたミルクでは、やはり栄養価が違うだけなく、抽象的かも知れませんが生命力がまったく違うのです。サステナは母のめぐみである母乳がコンセプトです。母の命が宿る母乳を再現するには、どうしても必要な要素が放牧環境と牧草飼育であると私たちは考えています。
今日も一日サステナ飲んで頑張りましょう。
よろしくお願いします。

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