NO.90 10月24日【木】=脳神経疾患と腸内環境=

おはようございます。

昨日は、腸内環境の改善によって脳腸相関を介して、脳の神経細胞に良い影響を及ぼし、パーキンソン病の症状が改善しているのではないかという仮説についてお話ししました。ところがこのお話とシンクロするように、今週21日に順天堂大学などの研究チームが、まさに腸内細菌によるパーキンソン病の症状改善を検証する臨床試験を開始したと発表がありました。やはり同じことを考えている研究者たちがいたことに驚くとともに、腸内環境と脳神経疾患の関係性については、予想以上に多くの研究者が注目を始めていることがわかり、大変うれしくまた心強く感じました。

順天堂大の服部信孝教授によれば、健康な人の腸内細菌叢をパーキンソン病の患者の腸に移植することで、症状の改善を経過観察し、調べるという実験計画だそうです。これに先行する形で、2020年に名古屋大学の大野欽司教授らは、パーキンソン病患者の腸内細菌を細かく分析し、特定の種類の細菌がパーキンソン病の発症や進行に関わっていることを発見していました。具体的にはある腸内細菌がパーキンソン病発症の原因物質と言われるαーシヌクレインの腸管神経叢への蓄積を促進していることが分かったのです。さらに健康な人に比べて短鎖脂肪酸をつくる善玉菌が減少していることも指摘されました。腸内細菌が善玉菌優位に改善されれば、きっとパーキンソン病の症状改善、そして治療への道が拓けることを期待しましょう。

難病指定されているパーキンソン病は、脳神経変性疾患という種類の病気に分類されていますが、脳や脊髄におけるある特定の神経細胞に突如変性が始まり、徐々に進行し障害を受けていく病気の総称とされています。同じカテゴリーには、アルツハイマー型認知症、多発性硬化症、ALS(筋委縮性側索硬化症)などがありますが、いずれも治療法が確立されていない難病であります。そしてこれらの病気も、やはり高齢化の波とともに世界中で患者数が急増しており、いまや社会問題としても、人類共通の大きな課題となっていることは、皆さんご承知のとおりです。

そしてこれらの病気における一つの共通点は、原因は不明ながらも、ある種のタンパク物質が異常に蓄積することで、脳や脊髄の神経細胞に損傷を与え、その神経が司る身体機能(運動や記憶、感覚など)に障害が起きるというメカニズムです。そしてそのタンパク物質の異常蓄積には、脳腸相関が関わっていることが、さまざまな角度から示唆されており、まさに腸内環境改善がこれら難病の改善と治療に新しい道を切り拓く可能性を多くの研究者が期待し、またその検証に取り組んでいるということです。近い将来において、腸内環境改善こそがこれら難病治療の切り札になることを期待しましょう。

そして、その切り札を使うためのもっとも有効で確実な手段が、サステナであることはもう皆さんよくお分かりのとおりです。私たちスターリジャパンとしても、こうした取り組みに積極的に参画することで、これらの患者さんの思いに寄り添ってゆきたいと考えています。

今日も一日頑張って行きましょう。

よろしくお願いします。

コメント